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「こんにちは。えーと……バイトスタッフさん?」
「あっ、私。 今回ご一緒させていただきます叶ココロと申します! 足を引っ張らな……じゃない。精一杯がんばりますので、よろしくお願いします」
こちらから挨拶しなきゃ。そんなこと、わかっているのに。
やってきた彼らがまとう華やかなオーラに圧倒され、私は直立不動で固まってしまった。
先に声をかけてくれたのは、ノアさん。私も慌てて早口で返したけれど。
もしかしたら、私のことをスタッフだと思ってる……?
「え……あぁ。そうなの?」
察したスタッフさんが「彼女は今回の相手役のひとりです」ってノアさんに伝えると、彼は一瞬バツの悪そうな顔をした。けれど、すぐに気を取り直すと、ごめんね、と軽い調子で私に話しかけてきた。
「こっちこそ初めまして、ノアです。って、オレらのこと知ってたりする?」
「その、ハイ。ご活躍は常々!」
「なんかキミ、ちょっと変わってるね? まぁ、いいけど。てか、おまえも挨拶しとけば?」
「……」
私なんかよりも、ずっと格上の。
世界を股にかけるっていうのは、大袈裟かもしれないけれど。
第一線で活躍するトップアイドルを目の前にして、私はすっかり縮まってしまいそうだった。
そんな私に助け舟を出してくれた……かどうかはわからないけれど。
ノアさんに急かされた彼が、一歩前に出ると口を開いた。
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