Interlude.1 ココロのむかしばなし

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Interlude.1 ココロのむかしばなし

 初めて静琉くんに会ったのは、12才の時。  転校先の小学校に彼はいた。  小さい頃両親を亡くした私は、レトロな喫茶店を切り盛りしていたおばあちゃんと暮らしていた。私は暇さえあれば手伝いをしに行って、歌をたくさん聴いた。そうなったら調子に乗って歌い踊り出すのに時間はかからない。だって、お客さん達も喜んでくれたし。  ……喫茶店が入っていたビルは古くなって、取り壊されてしまったんだけど。 「ごめんねぇ、ココロちゃんが歌う場所がなくなっちゃって」  ここ、コインパーキングになるんだって、と。「またいつかやってみたいねぇ」って、夕日に照らされ、眩しそうに目を細めたおばあちゃんの横顔はとても寂しそうだった。  気落ちする様子に、私まで悲しくなってしまった。だって、おばあちゃんがイチから作り上げた大切な喫茶店。だから私まで居場所を失ったような──。  と、センチメンタルな気分になりかけたところで、私は突然閃いてしまった。  ──私が歌手になれば全部解決するんじゃないかな??  歌手になって大儲けすればいい。そのお金で土地ごと買い取って、新しいビルを建てて、上から下まで喫茶店にしちゃえばいいんじゃないかな。わ〜。とってもいいアイデア! 「おばあちゃん、ココロが歌手になって喫茶店もう一度開いてあげるね!」 「あらあら、本当に? 嬉しいねぇ」 「うん、人生の最終目標は権力者(フィクサー)だから!」 「ココロちゃん、どこでそんな言葉覚えたの」 「常連のおじちゃんに教えてもらった!」 「……」
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