Interlude.1 ココロのむかしばなし

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 あれから数年。  中学生になった私は、歌手になって大儲けからの〜おばあちゃんの喫茶店をもう一度開店するために、夢を叶えるためにがんばっていた。  まわりの女子がオシャレとか、メイクとか。そういうのを気にするようになったから、私もその流れに乗った。それで気づいたのは、私は見た目はまぁまぁいけるんじゃない? ってこと。  ぼんやりした顔もメイクをして、アイラインをキュッと引いたら別人みたいになったし! 友達には「ココロちゃんスタイルいいね」って言われたから、なんだかイケる気がしてきた。 「とりまアイドルになっとこう!」  アイドルはとりあえずなれるものじゃない。有名な芸能事務所のオーディションを片っ端から受けたし、プロフィールも送ったりしたけれど、ぜ〜んぜん引っかからなかった。 「ここまで受からないと気持ちいい……なわけあるか! なんで〜!」    落ちに落ちまくった私に声をかけてきたのは、地下アイドルが所属する事務所だった。最初の一歩として、何もしないよりいいか、と思ったし。私はそこで二流にもなれないぐらいのアイドルグループに入って、週末は劇場でライブをするようになった。  アイドルを夢見る女子なんて、数え切れないぐらいいる。  アイドルを作る事務所だって、数え切れないぐらいある。  そんな中でメンバーはがんばったけれど、わずか一年ちょっとで解散することになってしまった。事務所の経営難、ってやつ。  運良く他の事務所に行くことになった子もいるけど、大きな事務所に行って活躍するなんて、夢のまた夢。 「解散したらココロはどうすんの?」 「う〜ん。私は自分で好きなようにやってみたいかな、でもなぁ」  大人とか、周りに振り回されて、あっけなく終わるなんて嫌だと思ったからそう言ったけど。私は行き先が見つからないまま、解散ライブの日を迎えた。
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