Act.2 Secret Story

1/35

20人が本棚に入れています
本棚に追加
/119ページ

Act.2 Secret Story

 ルームウェアブランドの撮影当日。  撮影スタジオに到着した私は、シートベルトをつけたまま車から降りようとするぐらい緊張していた。無意識のうちに両手両足を同時に出そうとして「あれっ?」って、ジタバタして気づいた。 「アンタの今日の仕事っぷりにかかってるのよォ!」 「わわ、わかってるってばぁ」  ここまで送ってくれたのは、マネージャーのシゲルちゃん。緊張でごくりと息を呑む私をよそに「シートベルト外したんだから、とっとと降りて行きなさい!」と、背中を押してきた。その強い力に、私は問答無用で車の外に押し出されたのだった。  なんだかココロ、心細い…なんて思ったのも束の間。  撮影スタジオに足を踏み入れると、そこにいたのは──うわぁ、出た! 「なんでココロなんかと一緒に仕事しなきゃいけないのよ! わたしは人気アイドルなの!」 「なによ、ケンカ売ってんの?!」  スタジオ内の廊下でいきなり鉢合わせしたのは、私の天敵ことエマ。 「二流のくせに! せいぜいわたしの引き立て役になりなさいよっ」 「いつかみんなの前でエマの化けの皮を剥がしてやるんだから!」  あっちはあっちで、こちらを見るなりケンカを吹っかけてきた。おかげで緊張はどこかに飛んでいったけれど、朝から耳元でキャンキャン叫ばれるって、罰ゲームでしかない。 「足を引っ張ったら許さないんだから──きゃっ、おはようございますっ。エマですぅ♪」 「ちょ、()ッ! お、おはようございま……っ」  変 わ り 身 早 っ !
/119ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加