Act.2 Secret Story

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 数分後。  関係者の前で、悪びれもせず責任転嫁をするエマを見て、私は驚きのあまり口を開けたまま固まってしまった。 「ココロちゃんがピンクのルームウェア、着たくないとか言うの! あーん。そういうワガママ、よくないよ? わたしの方がそういう可愛い色似合うと思うし、代わってあげようかなって?」  ──えええええ!    何言ってんの。っていうか、どの口が言ってんの?  でも、こんなワガママが通るわけがないし。スタッフさん達はみな、困惑顔だし。壁際でコソコソと始めたのがその証拠──と思ったのに。 「わかりました、今回はおふたりの役割(エマとココロ)を交代しましょう」  あっさり、それが受け入れられてしまった。  ……エマの事務所は、老舗のキューブアーティスツっていう、力のある大きなところ。しかも彼女は所属するアイドルグループの中でも人気のメンバーだ。  私の事務所じゃ。たけきのこ企画じゃ、それを跳ね返すことができない。  弱小事務所の二流アイドルが、大手事務所のアイドルと同じ現場で仕事ができるだけでも、すごいこと。  ここで言い返したり、文句を言ったら、この仕事が台無しになってしまう。もしかしたら次の仕事を失ってしまうかもしれない。それはアイドル・ココロとしても、社長・心としても、絶対にしてはいけないことだ。 「……」  俯いて、こっそり唇を噛みしめることぐらいしかできない。  何も言えず、ただ受け入れることしかできない自分が悔しかった。
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