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私たちの撮影テーマは、交際3年目の彼氏彼女。
忙しくて会えなくて、クリスマスにようやく顔を合わせたのに、喧嘩をしてしまった。素直になりたいのに、なかなか素直になれないふたり。
アイドルの叶ココロとして写真を撮られるなら、簡単なのに。
なんでこんなに難しいんだろうと思った。
このふたりは、どのくらいの期間会えなかったのかなとか、どうして喧嘩になったのかなとか。ひたすら想像して、考えて。カメラの前で私はポーズを取るのに必死だった。
ノアさんに合わせようとしても、見ている余裕すらなくって。
うまくいっているのか、全然わからなかった。
「……てかココロちゃんてさ、誰かと付き合ったことないでしょ?」
「え」
撮影の合間にノアさんがふと、そんなことを言った。
カメラに気を取られていた私は、びっくりして隣に座る彼を見た。
「あ、その反応? 図星」
「え、えっと。その……」
「だって、ぎこちなさすぎてさ。いかにもって感じなんだよねー。君もアイドルやってんなら、さっきの子ぐらいはできると思ってたんだけど。一応プロでしょ?」
ノアさんに簡単に言い当てられて、私はしどろもどろになってしまった。
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