20人が本棚に入れています
本棚に追加
/122ページ
「こういうの苦手な子もいるだろうから、仕方ないけど。けどさー、だったら。なんでこの仕事受けたの?」
「そ、それは。せっかく回ってきた仕事だしっ。足を引っ張らないようにがんばりますから──」
言い返したくても、返す言葉がない。
一緒に撮影する私がNGばかり連発してたら、いい作品はできない。
こんな時「がんばります」って言葉は、なんの役にも立たない。言葉よりも、ちゃんとやってくれ。ノアさんは遠回しにそう言っているんだと思った。
「あのさぁ。言いたくなかったけど、君も静琉狙ってんの?」
「え?」
「ほんっと、オレらの周りに群がるアイドルの子って、そんなんばっかで萎える」
「そんな……」
まさか、そのためにこの仕事受けたとかないよね、と。
最後にノアさんが吐き捨てるように呟いた。
その言葉に、今度こそ私は固まってしまって──。
最初のコメントを投稿しよう!