Act.2 Secret Story

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 演技じゃなくて、険悪なムードなのに。スタッフさん達には、これがコンセプトに合わせた表情やポーズに見えたのかもしれない。  ディレクターさんがこちらに向かって「いいよ」と親指をグッと突き上げたのが見えた。カメラマンさんも満足げな顔で頷くと、再びシャッターを切りはじめる。     カメラを見て、私に目線も送って。どこを切り取っても完璧な状態で、シャッターを切られ続けるノアさんが、小さな声で私に問いかけてきた。 「さっき何か言いかけたけど、なに」 「あの。群がるとか……さすがにそういう言い方は」  私にとって、静琉くんは初恋の相手で。  いつか再会できたらってずっと願っていた。  一緒に仕事できるって聞いて、浮ついてしまったのは否定できないけれど。  それでエマのように媚を売ったりとか。そんなことは考えていない。  ただ──伝えたいだけ。  あなたをずっと、探してましたって。会えて嬉しかったって。  「群がるって言葉がピッタリじゃん? さっき廊下で、静琉と話すチャンスがとか言ってたのはキミだろ」 「え?! ち、違います」  顔から、血の気が引いていくのがわかった。  まさか、廊下でひとりで愚痴っていたのを聞かれていたなんて。  ノアさんが切り取った言葉。静琉くんを狙っていると勘違いされたって、おかしくはない。   「何が違うの、あの子(エマ)とキミの。オレらからしたら全員同じ。Dazzlingのメンバーってわかって寄ってくる女」 「だから、違いま……」 
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