Act.2 Secret Story

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 唖然としたノアさんはほんの一瞬、固まったけれど。びっくりしたように目を見開いて私の顔を見つめてきて──私は我に返った。  ──やばい、仕事失った、私終わった……!  スタジオ中がしん、と静まり返った。  横目でチラッとスタッフさんの様子を見たけれど、やっぱり揃って固まっていて。  撮影のための演技なのか、それともモデル二名(ココロとノア)にトラブルが発生したのか。    どちらなのか、判断できなかったんだろう。遠くで腕組みをしながら、撮影の様子を見ていたディレクターさんが、中断させようと慌てて撮影スペースに駆け寄ってきた。  その時。  隣に座るノアさんが、それをけん制するように手を挙げた。 「トラブルじゃない、このまま続けさせてください」  周囲にそう伝えると、ノアさんは私に叩かれた頬に手を当てた。  それから、まるで驚いた演技でもしているみたいに、もう一度目を見開く。 すると、ファインダー越しにそれを見たカメラマンさんが再びシャッターを切り始めた。 「今までほったらかしにして、ごめんな」 「へっ?」  その言葉と共に、ノアさんが私の頭を引き寄せた。  何が起こったのか、私は一瞬頭の中が真っ白になったけれど。ノアさんは目が合うと「オレに合わせといて」って。私に向かって小さな声でそう言った。
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