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「アンタ行儀悪いわよ!」
「ウマー。梨、おいちい……ゴフッ!」
「ちょっと、なに噴き出してるのよォ!」
「ゴホォォォッ……!」
流れてきたそのニュースに驚き、梨を喉に詰まらせそうになってゴホゴホと咳き込む。だって、サプライズだなんて! 咽せる私を見たシゲルちゃんが慌てて飲み物を渡してきた。私は半分涙目になりながら呼吸を整え...ようとしたけれど。
『日韓ボーイズグループ ’Dazzling’ メンバーのサプライズ来日情報が入ってきました! 先ほど、ソウル市内の空港に日本人メンバーのふたりが姿を見せ──』
テレビに映るのは、それぞれニット帽とキャップを目深に被り、スタッフに警備されながら足早に空港内を歩く若い男性二人。ふたりの顔をはっきりとカメラが捉えると、テロップにその名前が踊った。
ーーー
藤崎静琉 (17) 、北嶋ノア(19)
ーーー
あぁ。
心臓が跳ね上がった。
記憶の中の彼の朧げな輪郭が、映像に重なっていく。
その名前も、グッとオトナっぽくなったその姿も。間違いなく彼だと思った。
『今月末に日本オリジナル曲を収録したアルバムが発売予定で──また、日本人メンバーのふたりはプロモーションの一環としてひと足先に来日、滞在期間中に──』
こうしちゃいられないと思った。
だって、彼が来るなんて!
いてもたってもいられない。
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