Intro. What's your ETA?

7/7

20人が本棚に入れています
本棚に追加
/104ページ
「すごい顔してるわよ? アイドル廃業したいのアンタ」 「だってやばいやばいやばい」 「スマホでなに調べる気なの」 「飛行機が羽田に着く時間(Estimated Time of Arrival)〜つまりETA♡」  私は歌を口ずさみながら、目の前のテーブルの上に置いてあったスマホをとっさに掴んだ。「誤魔化そうとするんじゃないワ」とシゲルちゃんがけん制してきたけれど、止めないでほしい。 「まさか空港行く気じゃないでしょうね?!」 「てへ♡ サイン会まで時間あるかなって」 「そんな時間あるなら、中間テストも近いんだから勉強しなさい!」 「アーッ! ほ、ほら。今日は土曜だから♡ 学校休みだもん! 教科書とか持ってきてないもーん」  私のことなんて全てお見通しだったシゲルちゃんから、思いっきり雷を落とされた。 「ごまかしても無駄よ。タブレット端末の中に課題入ってるんでしょ」 「にゃーん……」 「アンタはアイドルで社長で。ついでに自分自身のプロデューサーよ? けどね、その前に高校生でもあるんだから。卒業するってお祖母様との約束は守りなさい! だから勉強も……」  女子高生、アイドル、社長、プロデューサー。  シゲルちゃんはそう言うけど。  私を語るには、それだけじゃ足りない。  あともうひとつ。  Dazzlingのメンバー・静琉に密かに想いを寄せている。  だってあの日から、ずっと探していた。  あなた(静琉)は、私の初恋の人。  Darling, you could be the one. (あなたは運命の人かもしれない)
/104ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加