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「すごい顔してるわよ? アイドル廃業したいのアンタ」
「だってやばいやばいやばい」
「スマホでなに調べる気なの」
「飛行機が羽田に着く時間〜つまりETA♡」
私は歌を口ずさみながら、目の前のテーブルの上に置いてあったスマホをとっさに掴んだ。「誤魔化そうとするんじゃないワ」とシゲルちゃんがけん制してきたけれど、止めないでほしい。
「まさか空港行く気じゃないでしょうね?!」
「てへ♡ サイン会まで時間あるかなって」
「そんな時間あるなら、中間テストも近いんだから勉強しなさい!」
「アーッ! ほ、ほら。今日は土曜だから♡ 学校休みだもん! 教科書とか持ってきてないもーん」
私のことなんて全てお見通しだったシゲルちゃんから、思いっきり雷を落とされた。
「ごまかしても無駄よ。タブレット端末の中に課題入ってるんでしょ」
「にゃーん……」
「アンタはアイドルで社長で。ついでに自分自身のプロデューサーよ? けどね、その前に高校生でもあるんだから。卒業するってお祖母様との約束は守りなさい! だから勉強も……」
女子高生、アイドル、社長、プロデューサー。
シゲルちゃんはそう言うけど。
私を語るには、それだけじゃ足りない。
あともうひとつ。
Dazzlingのメンバー・静琉に密かに想いを寄せている。
だってあの日から、ずっと探していた。
あなたは、私の初恋の人。
Darling, you could be the one. (あなたは運命の人かもしれない)
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