11.ルピナス視点*昔と今のヴェルゼ

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「あっ、白い花とはこれのことか?」  ヴェルゼは目の前にある白い花を指さした。 「これが、そなたの言っていた妖精の花か」 「きっと、そうです。でもその花は、花を愛する者しか抜くことが出来ないと」  私で大丈夫だろうか。 「そなたなら大丈夫だな」  ヴェルゼに背中を押され、私はその花を抜いてみる。すんなりと抜けた。  抜いた場所には、花魔法の花を代わりに植えた。 「よかった……これが妖精の花」 「我のために、ありがとう」  そうだ。これはヴェルゼのために探した花。ヴェルゼの花粉症の症状をなくすためにこの森に来たけれど――。  私は小さい頃に森で獣達に会った。モフモフなヴェルゼを助けた時に。あの時は必死でモフモフを助けていたけれど、とても怖かった。  あの日以来大人と一緒でも、いつ現れるか分からない獣達が怖くて、森に行くたびに森の中でひっそりと怯えていた。今回はヴェルゼのために森の中に入ったけれど、ヴェルゼと一緒だと安心した気持ちで森に来れて、森の中に入れる。ヴェルゼのお陰。 「ヴェルゼ様、ありがとうございます」 「……そ、そなた、我の名を今、呼んでくれたのか?」  無意識に私は今、ヴェルゼの名前を呼んだ。言われてから気が付き、ヴェルゼに対して変に意識し、急に目を合わせられなくなる。ヴェルゼの反対側を向きながら話をそらした。 「その、今は痒みとかありますか?」 「正直言うと、少し痒い」 「では、早く戻りましょう。早急にお薬を飲んでいただきたいです」  ヴェルゼの後ろを歩いていたけれど、行く時よりも私は、ヴェルゼの近くにいた。
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