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第３話
時は流れて…
2023年10月２日の夕方６時過ぎであった。
場所は、家の食卓にて…
テーブルの上に真央が作った料理が並んでいた。
この時、信包がものすごく怒った表情で家から出ようとした。
真央は、家から出ようとする信包を止めた。
「待ってよ!!」
「なんで止めるのだ!!」
「もうすぐ暗くなるから止めたのよ!!」
「ふざけるな!!テーブルの上に並んでいる料理を食べるなと言うたから怒っているのだ!!」
「作るわよ!!」
「なんで食べたらいかんのだ!?」
「あれは京田の家のご家族がいただく料理よ!!」
「だから食べる分がないのか!?」
「京田さんのご家族は新築の家を建てたばかりよ!!」
「やかましい!!どけ!!」
「家にいてよ!!」
（ジリリリリン!!）
この時であった。
うぐいす色のプッシュホンのベルが鳴った。
真央は、受話器を手に取ったあと話をした。
「もしもし立浪でございます…信孝さん…今どこにいるのよ…男の仕事にケチをつけるなってどう言うことよ!?…なんで帰らないのよ!!…京田さんのご家族がいらつくから帰らないって…京田さんのご家族は新築のしてたてたばかりだから…」
（ガチャーン!!ツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツー…）
思い切りブチ切れた信孝は、ガチャーンと電話を切った。
信孝が真央になんて言うたのか知らないが、新の家族たちをズタズタに傷つける言葉を言うたと思う。
信孝からボロクソに言われた真央は『キーッ!!』と怒り狂った。
この時、するどい目つきをしている信包が怒った声で真央に言うた。
「コーコーの時のダチが待っているから行く…新の顔を見るだけでもいらつくのだよ!!」
「待ってよ!!」
「どけ!!」
（ガーン!!）
思い切りブチ切れた信包は、右足で真央をけとばしたあと家から出て行った。
そこへ、半兵衛が居間にやって来た。
半兵衛は、困った声で真央に言うた。
「真央さん…京田くんはまだ来ないのか？」
「おじさま!!」
「なんだよぉ〜」
「信孝さんと信包さんをなんとかしてよ!!」
「なんとかしてよって…」
「信孝さんと信包さんが京田さんのご家族たちを目のかたきにしているのよ!!」
「だからどうしろと言うのだ…」
「京田さんのご家族が新築の家をたてたことをきちんと説明してよ!!」
「説明したよ…」
（ピンポーン…）
この時、玄関の呼鈴が鳴った。
玄関の応対は、真央が出た。
新のご家族たちが到着したようだ。
しかし…
家に来たのは新ひとりであった。
新は、つかれた表情を浮かべながら居間に入った。
「課長。」
半兵衛は、家に来た新にやさしく声をかけた。
「京田くん、いま来た…あれ…ご家族たちは？」
新は、つらい声で半兵衛と真央に言うた。
「三重子は、店からあと４〜５時間いてくれと言われたので…残業をしています。」
「残業…長女さんは？」
「知永子も店からあと３時間いてくれと言われました。」
「おちびちゃんふたりは？」
「精神面が不安定になったので、お泊りをお願いしました。」
「困ったな…」
「きょうは、知永子さんの大好物のとりのささみを作ったのに…」
新は、困った声で半兵衛と真央に言うた。
「すみませんけど、わたしもこのあと会社にもどらないといかんのです。」
「会社に戻るって？」
「若い従業員が仕事をたくさん残したので、残業を頼まれたのです。」
「だったら、ごはんだけでもいただいたらどうですか？」
「そうだよ…ごはんを食べないとお腹がすくよ。」
「わかりました。」
新は、半兵衛と真央に対して晩ごはんを食べることを伝えたあと空いているイスに座った。
このあと、真央は新が食べるごはんとみそ汁をついだ。
「はい、できましたよ。」
「あっ、はい…」
気乗りしない返事をした新は、晩ごはんを食べようとしたが食べなかった。
新は、ものすごくつらそうな声で半兵衛に言うた。
「あの〜…」
「どうしたのかな？」
「さっき、次男さんの怒鳴り声を聞いたので…」
「えっ？」
「やっぱり…私たちがここにいたらメーワクになります…」
真央は、やさしい声で新に言うた。
「そんなことはないわよ〜」
「どうしてですか？」
「私たちは、厚意で新さんのご家族のごはんを作ったのよ。」
「気持ちは分かりますが、やっぱりよくありませんよ…」
「どうしてそう思うのかな？」
「課長のお気持ちは分かりますが、私たち家族としてはよくありませんよ〜」
半兵衛は、やさしい声で新に言うた。
「大丈夫だよ…」
「大丈夫ではありませんよ…課長のふたりの息子さんたちがなんで怒っているのか…と思えば…」
半兵衛と真央は、やさしい声で新に言うた。
「ああ、信孝と信包はこの最近ちょうしが悪いからイライラしているだけだよ。」
「そうよ…きょうはたまたまタイミングが悪かっただけよ。」
「そうは思えません!!」
「だから、信孝と信包はまだ京田くんのご家族になじんでいないだけだよ〜」
「そうは思えません!!」
「それじゃあ、同説明すればいいのだよ〜」
「課長、逃げてばかりいないで向き合ってください!!」
「向き合ってるよ…」
「おふたりの息子さんたちに向き合ってくださいよ!!」
「だから、どう向き合えと言うのだよ…」
「おふたりの息子さんはお嫁さんがいないのですか？いるのですか!?」
新がイラついた声で言うたので、半兵衛と真央はいいわけがましい声で言うた。
「だから、信孝と信包はお似合いの相手がいないだけだよ〜」
「そうよ…信孝さんと信包さんの身の丈に合う相手が近くにいないだけよ。」
「それじゃあ、いつになったらおふたりは結婚するのですか!?」
「だから、信孝と信包のお嫁さんは、熱田(神宮)の神さまが選んでくれるのだよ〜」
「課長!!それはだめです!!」
「どうしてよ？」
「あなたたちは神さまに任せると言うたけど、その間はなにもするなと言うことでしょうか!?」
「言うてないよ〜」
「その間にできることはあるわよ〜」
「それはなんですか!?」
「だから、毎月少しずつチョキンするのよ。」
「チョキンするって…」
「だから、女性の理想の結婚相手像にするためにチョキンするのよ。」
「言うてる意味が分かりません!!」
「だから、年収1000万円の人を望んでいるのあれば1000万円を目標に少しずつチョキンするのよ…信孝さんは少ないお給料の中から毎月１万円ずつコツコツとチョキンしているのよ。」
「コツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツ…と貯めて行けば、目標金額にたどり着くのだよ。」
「それは分かりますが、それだけでいいのでしょうか!?私たち家族も毎月少しずつチョキンしましたよ…家を建てるためにコツコツコツコツと貯めましたよ!!」
「だから新築の家ができたじゃないか…」
「そう言う課長はなんですか!?課長もコツコツコツコツとためたお金でこの家をたてたのですか!?」
「たてたよ…わしもこの家をたてるためにコツコツコツコツとお金をためたのだよ…」
「新さん、もういいからごはん食べましょうね。」
「そうだよ…ああ、せっかくついだみそ汁が冷めてしまったじゃないか…」
「いまから温めなおしますね。」
真央は、冷めたみそ汁を温め直すためにお鍋を持ってキッチンに行った。
この時であった。
新のスマホのライン通話アプリの着信音に設定されている着うたが流れた。
着うたは、Snow Manの歌で『タペストリー』に設定されていた。
新は、つらそうな表情でスマホを手にしたあとライン通話アプリをひらいた。
「もしもし、京田でございます…」
電話は、知永子からであった。
「知永子か…どこにいるのだ…えっ…栄…栄のどこにいるのだよ…ＳＫＥ劇場…残業じゃないのか…えっ…分かった…電車があるうちに家に帰るのだぞ…じゃあ。」
新は、ライン通話アプリを閉じたあと大きくため息をついた。
半兵衛は、困った声で新に言うた。
「長女さんから電話があったのか？」
「ええ…男性のパートナーさん（スタバの従業員さん）がシツレンしたからＳＫＥ劇場に行くって…」
「男性のパートナーさんがシツレンしたからＳＫＥ劇場に行くって？」
「ですから、男性のパートナーさんをなぐさめるためにＳＫＥ劇場に行くと言いました!!」
「わかったよ…ようは、男性のパートナーさんが元気になってほしいからオシカツに行くと言うことだろ…」
新は、ラクタンした表情で言うた。
「知永子は、自分がおかれている立場が分かってないのですよ…真中の家の人たちをボロクソに傷つけておいて…ノンキにオシカツをしている…あれは許せない!!」
思い切りブチ切れた新は、平手打ちでテーブルをバーンとたたいたあと席を立った。
新は、怒った声で半兵衛に言うた。
「これから有松へ戻ります…三重子に伝えてください…パートだと言うて逃げ回るなと…」
その後、新は家から出た。
半兵衛は、ものすごくつらい表情であたりを見渡した。
この日、新の家族たちは晩ごはんを食べなかった。
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