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第１話
時は、2023年７月１日の午後12時半頃であった。
場所は、名古屋栄の中心地にある名古屋東急ホテルの結婚披露宴場にて…
結婚披露宴場にはおおぜいの人たちが集まっていた。
結婚披露宴は、午後１時から開始予定であった。
結婚披露宴場の新婦側にある真ん中のテーブルに立浪半兵衛(70歳後半)と半兵衛のオイゴ(40歳・総合商社勤務〜海外長期出張中)の妻・平沼真央(34歳・専業主婦)と半兵衛がいた職場の元部下・京田新(45歳)の妻・三重子(58歳)の連れ子・義竜(５歳)とほのか(３歳)(ふたりとも三重子の元夫の子どもたちであった)が座っていた。
この時、新と三重子は、まだ結婚披露宴場にいなかった。
ソワソワした表情を浮かべている半兵衛は、左腕につけているカシオのウェブセプター(ソーラー電波腕時計)をひっきりなしに見つめながらつぶやいた。
京田くんと奥さまは、どこでなにをしているのだ…
今日は、知永子(32歳〜三重子の内縁の夫の子ども)がオムコさんをもらう日だよ…
早く来ないと、間に合わなくなるぞ…
この時、半兵衛のとなりに座っていた真央がいらついた声で半兵衛に言うた。
「おじさま!!おじさま!!」
「なんだよぅ〜」
「おじさま!!おちついてください!!」
「分かってるよぉ〜…だけど、京田くんと奥さまがまだ到着していないのだよぉ〜」
真央は、ひどくいらついた声で半兵衛に言うた。
「義竜くんとほのかちゃんがひどくおびえているわよ!!」
「分かってるよぉ〜…ああ、京田くんと奥さまは、いつになったら到着するのだ!?」
この時、義竜とほのかが泣きそうな声で『おうちに帰りたい…』と言うた。
「おうちに帰りたい…」
「おうちに帰りたい…」
近くにいた真央は、義竜とほのかに対して過度にやさしい声で言うた。
「ごめんね…ごめんね…」
真央がやさしく『ごめんね…』と言うたのに、義竜とほのかがぐすんぐすんと泣き出した。
「ぐずんぐすんぐずんぐすんぐずんぐすんぐずんぐすんぐずんぐすんぐずんぐすんぐずん…」
「ぐすんぐずんぐすんぐずんぐすんぐずんぐすんぐずんぐすんぐずんぐすんぐずんぐすん…」
真央は、ものすごくあわてた表情で言うた。
「ああ、泣かないで…義竜くん、ほのかちゃん…」
「こんなところはイヤ!!」
「アタシもイヤ!!」
「ふたりとも泣かないで…きょうは、おねえちゃんがオムコさんをもらう日なのよ…おねえちゃんは引き続き義竜くんとほのかちゃんたちと一緒に暮らすのよ…さびしくないから大丈夫よ…」
「ぐすんぐずんぐすんぐずんぐすんぐずんぐすんぐずんぐすんぐずんぐすん…」
「ぐずんぐすんぐずんぐすんぐずんぐすんぐずんぐすんぐずんぐすん…」
こまったわ…
どうしたらいいのよ…
おねえちゃんはお嫁に行かないのよ…
オムコさんが家に来るのよ…
どうしたらいいのよ…
真央は、おたついた表情であたりを見渡しながらつぶやいた。
それよりも、京田さんと奥さまはどこにいるのよ…
大事な日だと言うのに、なんで仕事の予定を入れたのよ…
（ウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウー…カンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカン…）
さて、その頃であった。
またところ変わって、ＪＲ稲沢駅の構内にて…
街の中心地に中央消防署のスピーカーからけたたましいサイレンが鳴り響いた。
同時に、地区の消防団の詰め所のハンショウと救助工作車とパトカーのサイレンが鳴り響いた。
駅のプラットホームに金沢発名古屋行きの特急しらさぎが停まっていた。
午前11時58分頃にＪＲ東海道本線の稲沢と清洲の間の区間にある踏み切りで黒の軽四自動車が脱輪した事故が発生した。
事故の影響で、稲沢と枇杷島の間の区間で電車の運行が停まった。
それでは、なんでけたたましいサイレンとハンショウが鳴り響いているのだ…
この時、脱輪した軽四自動車の中に大学４回生の男子学生が乗っていた。
男子学生は、シューカツでオワハラの被害を受けたことを苦に命を絶とうとした…
踏み切りで脱輪した軽四自動車は、３日前に名古屋市中村区の路上でトウナンの被害に遭った車だった。
車の中には、危険物が積まれていた。
現場の踏み切りには、愛知県警のパトカー10台と清州市と稲沢市の中央消防署の消防車両10台が停まっていた。
刑事たちは、軽四自動車に乗っている大学生に対して『車から降りるように…』と説得した。
大学生は『オワハラの被害を受けたから死んでやる…』とわめきながら揮発油を頭からかけたあと、チャッカマン（ライター）の火をつけた。
大学生が『ほんとうに火をつけてやる!!』と言うたあとわけのわからない言葉をいいまくった。
現場が危険な状態におちいった。
ところ変わって、ＪＲ稲沢駅にて…
特急列車に乗っていた乗客たちが次々と列車から降りた。
このあと、乗客たちは歩いてめいてつ国府宮駅へ向かった。
この時、新がおおぜいの乗客たちの中にいた。
新はこの日、会社のおつかいで金沢へ行ってた。
午前10時40分頃におつかいを終えて折り返し便の特急しらさぎに乗って名古屋へ向かっていた頃に急なアクシデントに遭った。
アクシデントがなければ、１時５分前までに名古屋東急ホテルに到着する予定だった。
サイアクだ…
こんな大事な日に…
なんで日帰り出張の予定が入ったのだ…
新は、ものすごくイヤな表情を浮かべながらつぶやいた。
（ジュージュージュージュージュージュージュージュージュー…）
またところ変わって、バンテリンドームナゴヤのすぐ近くにあるイオンモールにて…
三重子は、イオンモールの中にある矢場とん（みそかつ屋）の調理場で働いていた。
この日入る予定だったパート従業員ふたりがケビョウを使って休んだので、人手が足りなかった。
三重子は大きな中華鍋に入っている脂にみそかつを入れて揚げていたが、コロモがサクサクといわないのでイライラしていた。
ストップウォッチを使って時間をはかりながらみそかつを揚げているのに、コロモがサクサクいわない…
どうしてよ…
早く急がないと…
１時までに間に合わない…
だけど…
あと８人分作らないと…
この時であった。
女性従業員さんがものすごく泣きそうな声で言いながら調理場にやって来た。
「京田さん!!急いでください!!」
「分かってるわよ!!」
「４番テーブルの相席の７人家族のおきゃくさまがいつになったら定食ができるのと言うてるわよ!!」
「分かってるわよ!!」
「小さいお子さまたち３人が『お腹すいた〜』と言うて泣いてるわよ!!」
「分かったから急かさないでよ!!」
（ピピピピピピピピピピピピピピピピ…）
この時、タイマーの電子音が鳴った。
三重子は、揚げたてのみそかつを脂から出したあとまな板にのせた。
その後、包丁を使って食べやすいサイズにカットしようとした。
しかし…
コロモがサクサクと言わなかった。
「キーッ!!」
思い切りブチ切れた三重子は、カットしていないみそかつをまた脂が入っている中華鍋に入れた。
女性従業員さんは、ものすごく怒った声で言うた。
「ちょっとなにしてるのよ!!」
「コロモがサクサク言わなかったから揚げ直しているのよ!!」
「京田さん!!」
「きょうアタシは、娘の結婚披露宴に出席する予定だったのよ!!」
「それならなんで上の人に伝えなかったのですか!?」
「やかましい!!あんたも悪いのよ!!」
「なんでアタシを悪者にするのよ!!」
そこへ、男性従業員さんがやって来た。
「たいへんだ!!４番テーブルで相席のトラブルが発生した!!」
「知らないわよ!!」
「アタシも知らないわよ!!」
この時だった。
店にいたおきゃくさまたちの怒号が響いた。
「ふざけるな!!」
「なにやってるのだよ!!」
「早くしろよクソババア!!」
「子どもたちがお腹をすかせて待っているのよ!!」
「いつまで待たせるのよ!!」
「おーい!!こっちは１時までにタイムカードをおさないといけないのだぞ!!」
「いつになったらできるのだ!!」
「コロモがサクサク言わないからどうしたいのよ!!」
「ふざけるな!!」
「金返せ!!」
「作らないのであれば、イオンスタイルで弁当を買うぞ!!」
「うちの食費は、あんたがはらいなさいよ!!」
あああああああ!!
どうしたらいいのよ!!
(ガシャーン!!ガシャーン!!ガシャーン!!)
この時であった。
店内にいた客たちが三重子とふたりの従業員さんたちに向けて手当たり次第にあったものを投げつけた。
三重子とふたりの従業員さんたちは、おきゃくさまたちが投げつけた物でぶつけられたなど…さんざんな目に遭った。
時は、12時55分頃であった。
またところ変わって、名古屋東急ホテルの結婚披露宴にて…
あと５分で結婚披露宴が始まる予定であったが、予定どおりに結婚披露宴を始めることができなくなった。
館内放送で結婚披露宴の開始予定を１時間遅らせる知らせが結婚披露宴場に伝わった。
館内放送を聞いたおおぜいの人たちの間で動揺が生じた。
なんで１時間遅らせるのよ…
新郎新婦はなにしているのよ…
結婚披露宴場にいた人たちがは新郎新婦の悪口を口々に言うなど…サイアクな状況におちいった。
この時、新郎新婦のそれぞれの控え室でより深刻なもめ事が発生したようだ。
ところ変わって、新郎の控え室にて…
新郎の控え室には、知永子と結婚する予定だった真中拡次(51歳)と両親・昌信とみきこ(80代)と拡次の弟・裕仁(46歳)と妻・弓子(50歳)とふたりの息子・元春(５歳)と隆景(３歳)の合わせて７人がいた。
もめ事の原因は、裕仁にあった。
裕仁は、顧客から預かったカネを勝手に持ち出したあと全額ギャンブルにつぎ込むなど…悪いことをたくさんした。
この日、裕仁は負けた分を取り返すために中京競馬場へ行ったがそこで大敗をキッした。
裕仁は、受付にあった祝儀袋の中身を抜き取ろうとしたところをトイレから戻って来た受付の人に見られた…
その後、裕仁は受付の人に引きずられる形で新郎の控室にやって来た。
ことの次第を聞いた昌信とみきこは、ものすごく怒った声で弓子に言うた。
「まったくどういうことよ!!弓子さん!!あなたは真中の家の嫁としてはずかしいと思わないのですか!?」
「義母さま!!アタシは真中のためにガマンして来たのよ!!おしゃれもスイーツもなにもかもぜーんぶガマンして来たのよ!!」
「それじゃあ、どうして裕仁を止めなかったのよ!!」
「アタシは、身をていして裕仁さんを止めたのよ!!それなのに、裕仁さんが言うことを聞かなかったのよ!!」
「サイアクだ…サイアクだ!!」
「ええサイアクよ!!」
みきこは、気が狂いそうな声で言うた。
「拡次は、知永子さんと出会うまでの間…じっと動かずに待っていたのよ!!…その間に…少ないお給料の中から毎月１万円ずつコツコツと貯めていたのよ…コツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツ…と貯め続けて、やっと1000万円になったのよ…それを裕仁が全部ぶち壊したのよ!!」
裕仁は、昌信とみきこの前で土下座をしながら女々しい声で助けを求めた。
「負けた分を取り返したいのだよ…必ず返すから…カネをユウヅウしてくれ〜」
（ドカッ!!）
思い切りブチ切れた拡次は、右足で裕仁をけとばした。
「出ていけ!!家から出ていけ!!ケームショへ行け!!」
「イヤだ!!ケームショはイヤだ!!」
「ふざけるな!!ぶっ殺してやる!!」
思い切りブチ切れた拡次は、よりしれつな怒りをこめながら裕仁に暴行を加えた。
「やめてください!!義兄さまやめてください!!」
この時、弓子が拡次を止めに入った。
「どけ!!」
「やめてください!!」
「どけと言ったらどけ!!」
「おだやかに話し合いをしてください!!」
「おだやかに話し合いができるものか!!」
「やめて!!」
新郎の控室は、きわめて危険な状態におちいった。
さて、その頃であった。
ところ変わって、新婦の控室にて…
この時、知永子は濃いピンク色の長そでのトップスと白のロングパンツ姿に変わっていた。
それまで着ていた純白のウェディングドレスは、すでに脱いだ。
着替えを終えた知永子は、大型のサックスバーのスーツケースに荷物を詰めていた。
この時、真央がやって来た。
真央が知永子に対して『どちらへ行くのですか!?』と聞いた。
真央から聞かれた知永子は、ものすごく怒った声で真央に言い返した。
「アタシがどこへ行こうとあんたには関係ないわよ!!」
「知永子さん、おちついてください…お願いです…」
「アタシは、結婚以外の人生が見つかったから家を出るのよ!!」
「それはどういうことですか!?」
「カンショーしないでよ!!」
「知永子さんおちついてください!!」
「アタシは、京田が大キライだから出ていくのよ!!」
「なんで京田が大キライなのですか!?」
「大キライと言うたら大キライよ!!」
「それじゃあ、おとうさまとおかあさまのお気持ちはどうするのですか!?」
「カンケーないわよ!!」
「おとうさまとおかあさまはあなたがよろこんでいるお顔が見たいと言うていたのよ!!」
「アタシは、京田の子どもじゃないのよ!!内縁のどぎたない男の子どもだから、誰も祝ってくれないわよ!!」
「そんなことはありません!!みなさまは、あなたがよろこんでいるお顔が見たいから時間を作ってここにお越しになられたのよ!!」
「そう言えるコンキョはなによ!!」
思い切りブチ切れた知永子は、スーツケースを持って控室から出ようとした。
だが、真央が両手を広げて止めた。
真央に行く手を阻まれた知永子は、よりしれつな怒りをこめながら言うた。
「のいてよ!!」
「お願いです!!おちついてください!!」
「のいてと言うたらのいてよ!!」
「お願いですからここにいてください!!」
「アタシは京田から出ていくのよ!!」
「知永子さん!!」
「なんで行く手を阻むのよ!?」
「おとうさまとおかあさまが到着するまでここにいてください!!」
「アタシは真中が大キライだから結婚をやめるのよ!!」
「それだったら、結婚披露宴が終わったあとで拡次と話し合いをして決めたらどうですか!?」
「拡次は話ができない男だからイヤ!!」
「真中の人たちは、話せば分かる人たちなのよ!!」
この時であった。
元春と隆景がワーワー泣きながら控室にやって来た。
「ワーンワーンワーンワーンワーン…」
「ワーンワーンワーンワーンワーン…」
真央は、おどろいた声で元春と隆景に言うた。
「どうしたのよ!?」
「ワーンワーン…おかあさんが倒れた〜」
「おかあさんが倒れた〜」
「おかあさんが倒れたって!?」
「うん…頭が痛いと言うたあと倒れた〜」
この時であった。
思い切りブチ切れた知永子がテーブルの上に置かれていたカミソリを手に取った。
そして…
（ビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリ!!）
思い切りブチ切れた知永子は、カミソリでウェディングドレスをズタズタに斬り裂いた。
真央は、叫び声をあげながら知永子に言うた。
「やめて!!知永子さんやめて!!」
「うるさい!!あんたもぶっ殺してやる!!」
「やめて!!」
思い切りブチ切れた知永子は、カミソリをふりまわしながら暴れまわった。
こわくなった真央は、元春と隆景を連れて控室から逃げ出した。
それから20秒後に知永子はスーツケースを持って控室から出た。
（ピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポー…ウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウー…カンカンカンカンカンカンカンカン…）
ところ変わって、ホテルの正面玄関前にて…
正面玄関前に名古屋市の中央消防署の救急車と救助工作車がけたたましいサイレンとカネを鳴らしながら到着した。
つづいて、キンリンの消防署から応援でやって来た工作車３台が正面玄関に到着した。
車両の中から、救助隊員たち40人が降りた。
救助隊員たち40人は、大急ぎで館内に入った。
このあと、正面玄関にタクシー１台が到着した。
タクシーの中から三重子が降りた。
タクシーを降りた三重子は、大急ぎで館内に入った。
ところ変わって、館内にある結婚披露宴場にて…
この時、結婚披露宴場で出席者同士が乱闘騒ぎを起した事件が発生した。
館内に入った三重子は、ひどくおたついた表情であたりを見渡した。
この時、真央がものすごく怒った表情で三重子に詰め寄った。
「知永子さんのおかあさま!!」
「一体、なにがあったのよ？」
「結婚披露宴は中止になったわよ!!」
「中止になった!?」
「とにかく行きましょ!!」
真央は、三重子の手を引っ張りながら控室ヘ向かった。
ところ変わって、新郎の控室にて…
頭が痛いと言うたあと倒れた弓子は、救急隊員たちによる応急措置を受けていた。
リーダーの男性は、怒った声で言うた。
「50代女性!!脳挫傷を起したあと意識不明の重体におちいりました!!」
「急げ!!」
近くにいた昌信とみきこと拡次が心配げな表情で見守っていた。
裕仁とふたりの子どもたちがメソメソと泣いていた。
そこへ、真央と三重子がやって来た。
三重子は、おどろいた声で言うた。
「ちょっと、一体なにがあったのよ!?」
みきこは、泣きそうな声で言うた。
「弓子さんが脳挫傷を起したあと意識不明の重体におちいったの…」
「脳挫傷…」
「小さい子どもがふたりいるのに…どうしたらいいのよ…」
「おかーさん…」
「おかーさん…」
「うううううううううううううう…」
ストレッチャーにのせられた弓子は、このあと愛知県の救急救命センターヘ緊急搬送された。
救命センターに到着したあと、弓子は緊急の手術を受けることになった。
それから２分後であった。
真央は、みきこに対してことの次第をたずねた。
「あのー…おかあさま。」
「はい。」
「弓子さんは、いつ頃から体調がすぐれなかったのですか？」
「弓子さんは…数ヶ月前から体調が悪かったのです…ひんぱんにめまいを起こしていた…その以前から体調が悪かったとも聞いてました…あっ…弓子さんは、２ヶ月前に子宮ケイツイガンの手術を受けました…それと…10日前に受けた乳房のエコー検査で要精密検査と医師から言われました!!」
「要精密検査…」
「ええ。」
みきこからことの次第を聞いた真央は、ラクタンした表情を浮かべたながらつぶやいた。
サイアクだわ…
一生一度のよろこびの日に…
深刻なもめ事が発生した…
知永子さんは、これからどうしたいのよ…
結婚以外の生き方が見つかったと言うたけど…
どうやって生きていくのよ…
知永子さん…
知永子さん…
お願いだから、冷静になってよ…
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