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1000年後
1000年後の未来には黒々家はもう存続していなかった。
人類は何度も起きた戦争のせいで地中深くに住むようになった。
地中の中は当然暗いので、常に人口の灯りに照らされて、黒いもののでる時間帯はなくなった。
24時間人口の明かりがついているし、世界中の人がマグマで耐えられるギリギリの地中にいる。
暑いので、必要以外は外に出ない。
家の中にいてもすべての人口の光をさえぎることはできない。
人々の生活は色々な人種が集まり、24時間勤務できる環境になっていたので混沌としていた。
黒いものは息絶えてしまったかのように思えた。
だが、人は眠る時には暗闇を求める生き物なのだ。
やがて強い人工光をも防ぐ遮光性の高いカーテンやブラインドが開発された。
仕事はシフト制で同じ人と顔を合わせるようなことは少なくなっているので少し位誰かが休んでいても気が付かない日が続いた。
やがて遮光性の高いカーテンやブラインドを購入できる、収入の高い人たちが、何故か無断で欠勤するようになってきた。
流石に仕事に支障が出始めたので、欠勤している人たちの様子を見にその家を訪ねた社員の中から恐ろしい話をきいた。
「遮光性の高いカーテンを使っているからだろうけれど、部屋の中は真っ黒でその中から黒い手が伸びてきたんだ。
一緒に行った同僚はその手につかまってしまって黒い部屋に飲み込まれるようにいなくなってしまったんだ。」
という。
それきり、黒いものに飲み込まれた同僚は会社には来なかった。
あちらこちらで同じような事件が起きていたが、黒い物から守ってくれる黒黒家の守護はもうない。
人々は不思議な事件だと言いながらも、なすすべを持たなかった。
黒いものが人工光に負けない力を着々と蓄え始めている様子なのに。
黒いものは今度は家の外ではなくて、家の中の暗がりに潜み始めたようだ。
地中が真っ黒になることが無いよう、黒黒家の末裔をどこかから探し出さなければいけない日が来るのかもしれない。
【了】
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