……なんだ、それ。

2/3
前へ
/111ページ
次へ
 そう、腰を落として告げる。そんな私の前には、一基の墓石――もう七年も前、交通事故にてその尊い命を落とした両親の墓石が。今日は命日――と言うわけではないけど、必ず月に一回は訪れるようにしていて。  ともあれ、いつも通り供養を始める。そして、最後に手を合わせ冥福を祈る。目を(つむ)り、深く深く祈りを込める。どうか、安らかに。  ところで、この交通事故の加害者――当時、50代だった夫婦らしいのだけど――その人達の車が突如、歩道に突っ込んで来たのだと、その時周囲にいた人達の証言で明らかになった。そして、巻き込まれた二人の傍には白のケーキ――その日、10歳を迎えた私を祝うホールケーキが、見るも無惨な有り様だったとのことで。    
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加