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……ほんと、自分でも思う。
「…………ん?」
それから、数日経て。
お昼休み、廊下を歩いていると見知った背中が視界に入る。……いや、校内でこの言い方はおかしいか。それに、見知ったどころか毎日……それこそ、多分誰よりも見てるし。
ともあれ、件の人物――芳月先生は、私に気付くことなく歩みを進める。まあ、別に用事があるわけでもないし、いま声を掛ける必要はない。ないのだけど……
「…………よし」
そう呟き、そっと跡を付ける私。……いや、何がよしなのかという話ではあるけど……ただ、何と言うか……虫の知らせ? なんか、どうにも嫌な予感が――
そういうわけで(どういうわけで?)、こっそり付いていくこと数分――到着したのは、二階の隅に在する理科室。……実験? ……うん、なわけないよね。ともあれ、音を立てぬよういっそう慎重を期しつつ教室へと近づく。そして――
「――お待たせ。遅くなってごめんね、坂上さん」
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