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「…………」
扉のすぐ傍に身を屈め、息を潜める私の耳に届いた先生の声。どうやら、坂上さん――我らが二年一組の女子生徒と会うことになっていたようで。
……うん、まあ、間違いなくあれだよね。そして、だとすれば部外者たる私がこのまま此処にいるのは無粋以外の何物でもなく。なので、即刻立ち去るのが正解……の、はずなのだけど――
「……その、芳月先生。いきなり、こんなこと言われても困るかも、だけど……やっぱり、先生が好き!」
「……坂上さん」
すると、グズグズしてる間に真っ直ぐな恋心を告げる坂上さん。……まあ、グズグズも何も、結局去るつもりなんてなかったんだけど。
ともあれ、先生の返事に耳をそばだてる。まあ、確認するまでもないんだけど、それでも――
「…………へっ?」
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