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話したいこと
「――いや〜一度来てみたかったんだよね、ここ。ごめんね、優月。急に呼び出しちゃって」
「ううん、気にしないで美波。別に、これといった用事もなかったし」
ある平日の、薄暮の頃。
そう、快活ながらも少し申し訳なさそうな笑顔で話す美波。私の数少ない友人の、いつも明るい向日葵のような女の子だ。
『――あっ、優月。その、急でごめんなんだけど……ちょっと、今から会えないかな?』
20分ほど前、美波から掛かってきた電話。部活帰りで疲れてるはずだろうし、少し驚いたけど私としては何ら問題ない。それに、こうして美波と会って話す機会もあんまりなかった気もするし。
さて、そんな私達がいるのは、最近オープンした路地裏のカフェ。隠れ家的なロケーションと、昔ながらのレトロな雰囲気が密かな人気を集めているとのことで。そして、実際に来てみると確かに心安らぐ素敵な場所で、それこそ昭和や大正を思い出……いや、思い出すも何も知らないけどさ。
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