恩人

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恩人

「じゃあね、優月(ゆづき)。また明日〜」  「はい、さようなら浦崎(うらさき)先輩」  それから、十数分経て。  数多の人の行き交う大通りの十字路にて、ひらひらと笑顔で手を振り去っていく浦崎(うらさき)先輩。私自身、お世辞にも明るい性格とは言いがたいけど……それでも、彼女のような人といると少しくらいは口角も上がって。  ともあれ、続けて一人家路を歩く。数分後、通りに面した小さなスーパーに寄った後、閑散とした住宅街へ。そして、幾つか角を曲がり進むこと十数分――到着したのは、少し古いけど何処か趣のある五階建てのマンション。そして、階段を――エレベーターもあるけど、運動のため普段から階段を使用しているのだけど――ともあれ、四階へ到着し奥の部屋へ。そして、鞄から鍵を取り出しガチャリ――扉を開くも、どうやら誰もいないようで……まあ、当然なんだけど。
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