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「――うん、今日はこれにて終了」
それから、およそ一時間後。
リビングにて、誰に告げるでもなくそんな科白を口にする。そんな私の前には、円卓に所狭しと並んだ教科書や参考書、そして数冊のノートが。……ふぅ、ちょっと休憩。
「…………さて」
暫しだらんとした後、そんな呟きと共に徐に起き上がる。窓の方へ視線を移すと、外はすっかり茜に染まっていて。……さて、そろそろ準備に取り掛かろうかな。今日は、覚えたてのアクアパッツァを――
――ガチャン。
「……あっ」
そんな昂揚感を引き連れキッチンへ移動しようとした寸前、ふと鍵の開く音が。正直、思ってたより早かったけど……うん、今日は比較的仕事が少なかったのだろう。少し驚いたものの、こちらとしては不都合なんて何もない。ともあれ、先に迎えるべく玄関へと向かう。そして――
「――おかえり。今日もお疲れさま、芳月先生」
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