恨みの黒髪

6/6
40人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
しかし、彼の不幸はこれだけでは終わらなかった。 なんと、彼自身もまた、毎晩ずぶ濡れの男女に襲われるらしいのだ。 しかも、日が経つにつれ、自分を地面の中に引きずり込もうとする腕が増えるらしい。 遂には若い女の子のものらしい腕や声が日々増えて眠れなくなってしまった名取先生。 それらの腕や声は……恐らく、名取先生が今まで毒牙にかけた女子達のものだろう。 結果、名取先生は1ヶ月でなんと10キロ以上も痩せ、遂には教職を辞してしまった。 それから数か月後、美紅ちゃん達が心中したのと同じ池で、なんと名取先生の遺体が発見される。 発見された彼の遺体は、何故か全身に、恐ろしいほどひっかき傷がついていたらしい。 額や頬から、果ては眼球や口内まで。 小さな、まるで年頃の女の子のような手によるひっかき傷で全身が傷つけられ、かなりボロボロになり、とても凄惨な遺体だったとのことだ。 しかも、口内からは大量の爪が発見され、足には大量の長い黒髪が絡みついていたらしい。 心中した2人の怨念や、今まで傷つけられた女の子達の恨みが、遂に彼に牙を剥いたのだろうか。 【完】
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!