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そんな名取先生は既婚者だった。
が、彼はある女生徒に本気の恋をしてしまったのだ。
彼女の名前は臼井 美紅ちゃん。
私の同級生であり、親友だった少女だ。
祖父がドイツ人だった彼女は生まれつき色素が薄く、ふわふわしたカーリーな長い黒髪に、真っ白な肌、赤い唇を持つ大変に美しい美少女だった。
故に、名取先生も一目惚れしてしまったのだろう。
彼のあからさまなセクハラは入学当初から始まった。
肩を撫でるところから始まり、肩を堂々と抱こうとして来たり、ときには頬を寄せ……頬にキスをしようとして来たこともあったらしい。
授業中に。
だが、そんな美紅ちゃんには幼い頃からの幼馴染であり、将来を約束した幼馴染がいた。
彼氏の名前は江田 冬樹君。
江田君はサッカー部のキャプテンで、大変なイケメンだった。
加えて、気さくで明るい彼は、とても皆から好かれており、人気者であったのをよく覚えている。
名取先生のセクハラこそあれ、2人の仲と将来は非常に順調に思えていたのだ。
――『あの時』までは。
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