恨みの黒髪

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翌日には、2人の行為は、同じ学年の全生徒が知るところとなった。 しかし、こうなると、心配なのは江田君の推薦だ。 実は、よりによって、名取先生は学年主任なのである。 誰もが、江田君の推薦取り消しを予想した。 だが、予想に反して江田君の推薦は何時まで経っても取り消されることはなかった。 それどころか、ストレートに推薦で進学が決まる江田君。 心配していたクラスメイトや友人達は、それを心から喜んだ。 けれど、それから数週間後の早朝。 学校の近くにある、藤棚が美しい公園の池で、冷たくなった美紅ちゃんと江田君が発見された。 遺された遺書によると……なんと、あの日、2人の行為が発覚した夜から、美紅ちゃんは江田君の推薦を取り消させない為、肉体を名取先生に捧げていたらしい。 何でも、名取先生から、自分と関係を持てば江田君の推薦を取り消さないという取引を持ち掛けられたらしいのだ。 そうして、江田君を心から大切に思っていた美紅ちゃんはその誘いに乗ってしまった。 結果、名取先生の子供を妊娠までさせられてしまった美紅ちゃん。 名取先生は、彼女を誰にも見つからない場所に囲い、愛人にしようと画策していたらしい。 が、寸でのところで美紅ちゃんが脱走。 そして、全てを江田君に相談し……未来に希望が持てなくなった若い2人は心中をしてしまったようなのだ。
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