読書をしてる彼女が可愛すぎて読書どころじゃない。

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 可愛いッッッ!  俺は開いた本そっちのけで、本を読んでいる女の子、希望の顔を覗き込んだ。  真剣な瞳、少し緩んだ頬、たまに髪の毛を指に絡ませてくるくる。  無理無理無理無理無理無理!  可愛いすぎてやばい!無理!  そんな可愛い女の子は、俺の———  宇宙一可愛い彼女なのだッッッ!  なんで希望は俺を選んでくれたんだろう。  なんか知らんけど神様ありがとうッッッ!  そして希望ありがとうッッッ!  母上、父上、産んで育ててくれてありがとうッッッ!  おばあちゃん、おじいちゃん、ひいおばあちゃん、ひいおじいちゃん……  ご先祖様ありがとうッッッ!  なんなら世界中の人類ありがとうッッッ!  涙ながらに心の中で感謝を叫んでいたら。 「蓮斗、どうしたの?」  希望がこっち見てるっ!!!!  間抜けな顔をしていなかっただろうかっ!!!!  やばい、視線を感じる…っ!  あの可愛い真っ黒な瞳が、俺を見つめてるっ! 「いやあ、なんでもない、よ?」 「なんで疑問系?ていうか何読んでんの?」  希望が俺が読んでた本のタイトルを覗き込んだ。  まずい…! 「ああ、それより」  咄嗟に本を隠して会話をずらした。  隠した本のタイトルは———『彼女に好かれる10の法則』。  こんな恥ずかしいタイトル、見せられないっ! 「希望は何読んでるの?」  俺は、たまたま目に入った希望の読んでいた本を話題にした。 「ああ、これ?最近話題の恋愛小説だよ」  希望は、その本の表紙を俺に見せてくれた。  それは、最近映画がやってる恋愛小説だった。  希望、こういう本読むのか。 「あのねっ!ヒーローの悠介くんがとってもかっこよくて…!」  頬を紅潮させながら喋る希望。うん。満点に可愛い。  だがしかし!「かっこいい」という言葉、聞き捨てならなぬ。 「……それは、どんなやつなのか?」 「ん?悠介くんのこと?え〜、イケメンで、かっこよくて、頭が良くて〜……」  くそっ!勝てる要素が一つもないじゃないか! 「……そうなのか。読書を邪魔してわるかったな」  そう言って意識を本に集中させ…  ……れるわけないじゃないか。  可愛すぎるだろ?  だろう?  だがな、希望。  さすがに聞き捨てならないぞ。いくら本の中だったとしても、希望を汚す男は許さん。 「希望……」 「あ、でも」  俺の低い声と、希望の高い声が重なった。  そして希望は、少し恥ずかしそうに「耳、貸して」と言ってきた。  ドギマギしながら耳を傾けると、希望は顔を真っ赤にしながら、小さな声で言った。 「でも、ね……、でも、蓮斗が、やっぱり1番かっこいいから……その、そばにいるだけで、ドキドキしちゃう」  はい、もうイチコロだ。  こんなこと言われて惚れないわけないだろ。  声が出なくなりそうだ。でも、今の俺は勇敢なんだ! 「希望」 「……うん」 「俺も」  そう言って俺は、希望の頰に軽くキスを落とした。  希望は何も言わなかったけど、耳までりんごのように真っ赤に染まっていた。
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