プロローグ

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2024年7月3日水曜日  港に程近い石川県庁並びに隠れ家の様な喫茶店があった。日本家屋の外観、(いぶ)した木材の格子戸を開けると懐かしい匂いがした。その店の名前はスミカグラス鞍月(くらつき)。 (懐かしい)  スミカグラス鞍月は恋人だった市原 莉子(いちはらりこ)と初めて待ち合わせた店だ。然し乍ら高等学校1年生の僕と3年生の莉子の小遣いなど高が知れていた。 「美味しいね」 「うん、美味しい」  僕と莉子はパンケーキを注文し半分にして口に運んだ。 ーーーーあれから17年  僕と莉子は骨董市で偶然再会した。  「蔵之介、私、婚約しているのよ」  彼女は左手の薬指に光る指輪をそっと隠した。  BLOOMING TEA(ブルーミングティー)工芸茶はガラスのティーポットの中でマリーゴールドに似た黄色い花弁を開き始めた。 「綺麗、初めて見た」 「金花彩彩(きんかさいさい)って言うんだよ」 「そうなんだ」  ジャスミン茶の香りが漂う14:15、僕は莉子の手を握った。 https://estar.jp/novels/26233659 (本編) 紙飛行機と堕ちた恋 初恋のち不倫は許せますか 忘れられなかったあなた 忘れられない恋 baab23f9-bb92-4bb1-9667-cf052caffc77
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