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風評などなんのその、ミトラスは優雅にカップを傾ける。
「ねぇ、ミトラス様、そんな薬を作ってどうなるの? 女騎士が気の毒だ」
「お前は誰の味方をする?」
「そりゃあ、かわいい女の子の味方さ!」
カラスはえっへんと効果音付きで片翼を胸の前に添えた。
このように強大な魔力を持った者の眷属となると言葉を理解し、コミュニケーションがとれる。まぁ、主人が軽口を認めるかは別として。
ミトラスは無言で中身が入ったままのカップを使い魔へ投げ付ける。
「カァカァ! 何するんだい! ミルクティー色のカラスになっちゃうじゃないか!」
「惜しかったな。火傷でもすれば、その可愛い女の子とやらに手当てして貰えたのに」
「もう! 冗談だって! あの女騎士にかわいいなんて言ったら火傷じゃ済まないよ。女性扱いするとすっごく怒るんだからね!」
訴えにミトラスはふむ、と唸る。
「何が気に入らないんだろうね? 世の女性は甘い物と同じくらい賛美が好きじゃないか」
現にミトラスは女性等から可愛い、綺麗と言って欲しいと強請られてきた。
「御主人様は思ってもないのに褒めたりするから、女癖が悪いって言われちゃうんだよ?」
「けれど、褒めなかったら褒めなかったで叩かれる。大賢者も楽ではない、研究費の捻出にご機嫌取りが必要なんだ」
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