4 祭り2

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■  女王の登場で祭の盛り上がりは最高潮に達しようとしている。男装姿のセミラが万全な警護体制を敷いたことで大きな混乱もなく、ヘリオトロープと民衆の触れ合いは無事成功したと言って良いだろう。 「団長お疲れ様です」 「あぁ、副団長もご苦労だったな。陛下のお見送りが済めば自由行動としよう」  会場の熱気に当てられ、セミラの頬が若干赤い。額の汗を拭う際、副団長の惚けた表情に気付く。 「どうかしたか?」 「あ、いえ、その衣装似合ってます!」 「あぁ、これか?」  元々はミトラス用に仕立てられたものだが、女王が針子を呼び早急に直した。  仮装大会用の衣装で警護をせよとは女王の指示で、いわゆる男装の麗人となったセミラは注目を集める。 「女王いわく、警護の物々しさを和らげる目的らしいがーーやはり慣れないな」  肩を竦めるセミラ。と、短髪に見えるようセットしてあるので頬へ毛先が当たらない。 「あはは、金色の鎧を纏うのに?ご謙遜を。街娘達が目を輝かせて隊長を見てましたよ」  猪の姿の時と違い、甲高い声で名を呼ばれたり手を振られたり。まさに手のひら返しの反応にセミラは苦笑いを浮かべる。  会話を交わしつつ、青い瞳は周囲への警戒を怠らない。酒がだいぶ回った人々の姿も見受けられ、諍いの切っ掛けになるやもしれないからだ。
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