5 祭り3

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 説明の補足でミトラスはセミラの手を取り、自分の手と並べた。  指輪について話す彼は生き生きしており、きっと知識を司る大賢者の本質なのだろう。人々もいつしかミトラスの話術に取り込まれ、熱心に耳を傾ける。 (私はこのまま彼と結婚してよいのか? 分からなくなってきたぞ)  それこそ今更な件を巡らすセミラ。 (賢者殿は私ではない誰かと結婚した方がいいんじゃないか?)  指輪は熱くなりセミラを締め付けた。すぐさまミトラスは変化を察知。 「今、僕の研究を邪魔する考えをしましたね?」 「い、いや、してないが?」 「嘘ですね。正直に言いなさい、何を考えました?」  正面を向いたまま、それも指輪語りをしながら追求してくる。 「本当だ、私は邪魔などーー」 「ならば言えますよね?」  彼は真実を明らかにするまで引き下がらない。諦めるしかないな、セミラはかぶりを振った。 「私みたいな無知が隣に並んでは、貴殿の頭脳が発揮できない。結婚しない方がいいのではないかと」 「……事あるごとに聞いていますが、何を仰っているのか、お分かりですよね? 僕を慮った風に言っても駄目です」 「だからそこまで愚かじゃないさ。貴殿から離れる選択が研究の邪魔になるはずない」  小声で口論していたが、ここでミトラスが言葉を切った。  セミラは繋いだ手を離す。
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