エピローグ

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■  祭りから数日後ーーセミラが森で図鑑を開いていると背後から気配を感じる。 「おかえり、ミトラス」 「はぁ、貴女の勤勉さには呆れてしまいますねぇ。仕事を終えたばかりでしょうに」  ミトラスはセミラを抱き締め、膝上の資料を閉じさせた。 「おいおい、知識を司る大賢者の言葉とは思えないな」 「いいんです、貴女の夫として言っているのですから。勤務はとっくに終わってます、これより夫婦の時間ですよ」  頬を擦り寄せてくる仕草を撫で、セミラは言葉を返す。 「あんな騒ぎを起こしたのに団長の任を解かれなかった。ミトラスや団員が嘆願書を出してくれたお陰。私は一刻も早くその恩に報いたい」  不得手を学び、役立ちたいと主張する。 「はいはい、その旨は何度も聞きましたよ。団員も聞き飽きたと言いません?」 「はは、言ってるな。だが、こうして繰り返し伝えたいんだ。ありがとうミトラス」  セミラとミトラスの関係は険が取れ、支え合う距離感となった。夫婦らしい接触も多くなり、セミラから頬へ口付けを贈る。  すると軽い口付けが物足りないのだろう。ミトラスは横へ腰掛け、肩を抱く。 「僕等の結婚では騎士団と共に魔術師も警護にあたります。あんな事態は絶対に起こしませんよ」  魔術を用いた暴動は騎士団だけでは制圧が難しい。ミトラスは魔術師も警護に加わる計画を提唱し、採用される。むろん一筋縄じゃいかず、関係各所への根回しは必要だった。
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