1 共同生活

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 2人はまるで火と油。女王の命がなければ共に暮すことなど無かったはず。 「何故、私との結婚を承諾した? このままだと1ヶ月後には挙式だぞ」 「理由を教えねばならないくらい、貴女の脳は機能していないのですか?」 「ならば私達が結婚しなくてもよくなる魔法はないのか?」 「は、そんな都合のいい魔法などーー」 「あるのか!」  両手をテーブルに勢いよくつき、身を乗り出すセミラ。 「あるはずないでしょう」  振動を避け、横を向くミレトスだが何やら巡らせている様子。足を組み、顎に手をやる。 「賢者殿、やはりあるのでは?」 「聞こえませんでしたか? ありませんよ。はぁ、貴女(騎士)達は行き詰まるとすぐ魔術に頼り、考えるということをしませんね? 考えるのを止めてしまえば動物と変わりません」  コツコツッとこめかみ辺りを人差し指でつつく。 「我々がその辺の犬や猫と同じだと?」 「なんなら犬や猫の方が利口なのでは?」  青い瞳と黒い瞳がぶつかる。 「貴様らこそ、後方支援だとほざき前線には決して立たない。人の背中に隠れ、美味しいところだけ頂くーーハイエナみたいな集団じゃないか!」  女王陛下に忠誠を誓う立場であっても、騎士と魔術師は相容れない。   「婚約、破棄にしますか? 貴女から」 「……それが出来ればどんなに楽か」  このまま椅子を蹴り出ていくのは簡単。しかし、セミラの肩には騎士団の未来がのっている。血が出るくらい噛み締めつつ、着席した。
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