心が見える

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「私ね、心が見えるの」  小学生の頃、茜色に染まる帰り道。  給食セットを揺らしながら歩く彼女は私と視線を合わさず、遠くを見つめて、そう言った。 「・・・・・・」  その横顔は何処か哀しそうで、心が“読める”の間違いじゃないか?なんて疑問も口にすることは出来なかった。 「そう……なんだ」  何とか捻り出した返事。  その時の私にはそれが精一杯で。
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