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時が流れ、数年後。
私達は高校生となり、親友という関係は今もなお続いている。
群青の空の下、気持ちのいい風が吹く屋上で昼食を二人きりで取る、それが日常。
そんなある日のこと、菓子パンを頬張りながら、ふと小学生の時の事を思い出した私は彼女に意を決して、あの頃の“疑問”を訊ねるのだった。
「ねぇ」
「うん?」
靡く髪を押さえながら、微笑む彼女。
私は固唾を飲み、意を決して踏み込む。
「小学生の頃さ、“人の心が見える”って言っていたでしょ?」
「・・・・・・」
切り出した瞬間、彼女の顔が曇る。
「あれってどういう意味だったの?」
「あぁ~あれね。忘れてよぉ~!小学生特有のやつだっただけだからぁ~」
茶化して話を終わりにしようとする彼女を私は引き戻す。
「嘘でしょ」
「え」
「これでもずっと貴女を見てきた!親友の私にも話せないことなの?」
真剣な表情で問い詰める。
仲が良いからこそ、親友であるからこそ、隠し事はしてほしくなかった。
小学生の頃、彼女が話してくれた、その話を私は曖昧な返事をして逃げた。
だから、もう二度と逃げたくなかった。
その話からも、彼女からも。
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