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「できた!宇宙人に自慢できる科学実験の成果ー!!」
レモンとスイカがミックスされたような大砲が、ありえないほどシュワシュワに泡を噴き上げながら黒板の方へと飛んでいった。
「名付けて————悪魔退散ジュースっ!!」
めちゃくちゃだった。
が、その効果だけは抜群だった。
「はっはっは。私を封印するというならともかく、退散など只の人間どもには不可能……って、何ぃ!?私の体が崩れっ……ギャアアーやめろおぉおお!!」
「やったぜ!実験成功!」
いえいっ!ピカーン!
ピースサインと共にキランと星を光らせて決めポーズを見せたのは、安全メガネと白衣に身を包んだ澤田だった。
悪魔はお陀仏となり、澤田は一時的にクラスの英雄となった。
「すごいな澤田!」
「見直したよ俺!」
「化学かぶれの変人だとか思っててごめんな!」
しかし沸き立つ生徒たちの間で、顎に手を当てて考え込んでいる者がいた。
「……いや、待って、これはありえない……」
「ん?どうした光寺。」
「澤田の悪魔退散ジュースの製法がわからない……っ!化学でも魔法でもない!あれはきっと、もっと未知の何か……!」
金髪キラキラ少女の光寺は、胴上げをする生徒たちをかき分けかき分け、澤田を捕まえることに成功した。
「澤田!お前何者だ!」
「実験大好きな一般中学生です!」
「嘘つけ!」
「あの……ちょっといいですか?澤田くんは嘘ついてないですよ?言い忘れてましたが、私は人間嘘発見器として生まれついた少々特殊な出自を抱えておりまして……」
「そんなやつまでいたのかよ!俺たちのクラスどうなってんだ!」
コホン、と。唐突な銀坂の咳払いが、カオスになりかけてきた空気を落ち着かせる。「あの、いいですか?」との彼の言葉に、皆がいったん注目する。
「この僕は死神の家系に生まれましたが、それは言い換えれば“僕の先祖に、初代の死神が存在した”ということになります。そしてそこの魔女、光寺さんも同じ……彼女はおそらく師匠について魔法を学んだと思われますが、昔に遡っていけば必ず“初めて魔法を使うことを覚えた人が存在した”はずなのです。」
ちょっとややこしい言い方をしてしまいましたが、つまりですね、と銀坂は言う。
「おめでとうございます。澤田くんは、人類史上初の『ナニカ』となったのです。」
「ナニカって何だよ……」
「さあ?悪魔退散魔術師とか?スイカレモンジュース使いとか?ま、呼び方は何でもいいですけど。」
そんな呼ばれ方しても嬉しくない名前しかないじゃねーか、と学級委員の島崎が呆れている。一方当人の澤田はまんざらでもない顔をしていた。スイカレモンジュース使いか……と不思議に遠い目をして微笑と共に呟いている。
「ま、誰にも怪我がなかったし、一件落着ということで。よかったよかった。」
パン、と誰かが柏手を打って場を締める。
……と、その時だった。
バン!とものすごい勢いで教室のドアが開いた。
「お前ら!無事か!」
「あっ、先生。」
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