記者会見

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 ついに出てしまった、『監視』という言葉。監視とは、あまり良い聞こえのものではない。はっきりとそれを口に出してしまうことで、今回の桂総理は、機嫌を悪くして会見を打ち切ってしまうかもしれない。だが、どう考えても、桂総理の説明は、国民を監視する、と言っているようにしか聞こえないのだ。  当然、桂総理は、その記者の質問に反応していた。 「あなた、今、私が、国民を監視するのか、と、質問をされたようですが、まあ、あなたのその解釈は、当たらずも遠からず、ということでしょうか。」 「ど、どういう事でしょうか?」 「まあ、この場では、詳細まで全てを説明する事はできません。ですが、ある程度までならば、説明をさせていただきます。そのための記者会見ですから。ですが、私の意図を誤解する事なく把握していただけるためには、少し回りくどい説明になってしまいますが、それでもよろしいでしょうか?」 「は、はあ。分かりやすくしていただけるなら、それでもいいですが。」 「よろしい。では、改めて、説明をさせていただきます。今、私達、日本では、著しい治安の悪化が進んでおります。そのため、現段階での日本の警察の能力では、どうしても追い付いていない現状です。それは、皆さんもご存知でしょう。  そんな中、警察庁の方から、国家公安委員会を通して、自衛隊、消防への、業務要請依頼がありました。つまりは、週刊誌にあった、あの記事は事実ではあります。  しかし、私は、日本の総理大臣として、その依頼を国会にて、そのまま審議する事は、できないと判断しました。  理由は、先程の皆様が心配された事通り。自衛隊や消防にも、通常、大事な業務があります。警察の応援要請を受けたからと言って、そちらを疎かにはできないからです。」  それならば、どのようにすれば、現在の警察の人員で治安対策が出きるのか。私は、そこを考えていました。そこで、捜査の時短ということに注目したのです。」  桂総理のここまでの説明では、まだ、『国民の監視』についての具体的な説明には、なっていない。予告どおり、とても回りくどい説明になってきている。だが、取材陣達は、回りくどい説明になる、と、先に桂総理に言われているので、誰も、説明を遮って質問をしたり、答えを催促することができないでいた。 「まあ、ここまでは、私が、このような考えに至ったかの説明でしかありませんでした。では、ここから、治安対策をどのようにして行うか。それを、説明していこうと思います。  まあ、簡単に行ってしまうと、先程の記者の方が言われた、『監視』に似ているもの、には、なってくると思います。ですが、私が考えた方法は、それとは、やや違ってくると思います。  まず、犯罪者が全て現行犯であるかのように、全ての証拠が出揃っていたら、という点について。この事ですが、皆さんも、予想できる通りです。単純に、映像として残す、ということになります。」
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