記者会見

5/6

6人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
 映像として残す、ということは、カメラを使用すること。それは、監視カメラを設置するということ。桂総理は、監視にしたようなもの、と言っていたが、監視カメラを設置するということは、桂総理の考えは、国民を監視する、ということにかわりないのだ。 「総理。映像として残す、とおっしゃぃしたが、それは、監視カメラを設置して、国民を監視するということになるのでは?」  たまらず、記者の一人が質問をし、桂総理に答えを求める。 「えー。映像として残す、と言うことは、確かに、監視カメラを全国各地に設置するということになります。全国各地、ありとあらゆる所に監視カメラを設置することで、犯罪者がが、どこにいるか、それを常に把握することができます。そうなれば、そこに向かうだけで、犯人を確保、逮捕することができるでしょう。そうなれば、犯罪捜査の時間が大幅に削減することができます。  監視カメラを設置する目的は、あくまでも、捜査時間の大幅な短縮であり、それが、警察の人員不足、治安への対策と、繋がっていくわけです。  したがって、警察の方から、自衛隊や消防への応援要請があったのは事実ですが、それを、議会にて審議する事は、ありません。  応援要請をし、確かに、警察業務に対応する人数が増えたとしても、一件一件の捜査にかかる時間は変わらない。それでは、本当の意味での治安対策には、なりえません。ありとあらゆる所に監視カメラがある、という事実は、確実に犯罪の抑止力にもなっていくわけです。つまり、犯罪の発生そのものの絶対数を抑えることになります。  これこそが、本当の治安対策になるわけです。」  桂総理は、そう言うと、取材陣に一礼をして、官邸の奥の方へと歩いていった。取材陣に取っては、中途半端な記者会見の終わりかたである。  今回の桂総理による記者会見は、桂総理が考えた治安対策を、いち早く国民に知ってもらうために開いたもの。監視カメラを全国各地に設置することで、犯行を映像に残し、犯罪者の位置を把握することで、捜査時間の短縮による、警察機能の強化、それによる犯罪発生率の抑制。  ただ、不自然な点がある。桂総理は、この自身の考えを、何故、いち早く国民に伝えたかったのか。わざわざ、週刊誌に情報を提供することで、国民の関心を自身に向けるような手間をかけてまで、このようなことをしたのか。  当然、桂総理の去り際に、この事について、質問が飛び交ったが、桂総理は、これ以上答える事はなかった。  今回の記者会見にて、取材陣や国民に伝わったことと言えば、大袈裟に言うと、監視カメラを全国各地に設置するということだけ。  表現方法を変えると、国民を監視する、と言っているようなものである。  ありとあらゆる所、とも、桂総理は言っていたが、どれくらいの範囲まで監視カメラを設置するのだろうか。それにより、、国民のプライバシーは守られるのか?  桂総理の今回行った記者会見は、逆に別の問題が発生くる可能性が高いものであった。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加