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赤島は、自衛隊と消防へ応援要請を出す案を、室伏達へつたえた。警察全体で意見を一致させるという、意図も合わせて伝えた。
赤島の案を聞いて、室伏以外は、そんな馬鹿な、と言わんばかりに、ざわつき始めたが、室伏だけは冷静に腕を組み、何やら考え事をしているようだった。
「赤島さん。あんたの案は分かった。」
「おう、そうか。それで、どうだ?賛同してくれるか?」
「賛同するも何も、こんな場を設けたこと自体、意味がないんじゃないのか?」
「何だと?どう言うことだ?」
まるで、全否定とでもとれるような室伏の言葉に、赤島は思わず立ち上がった。まるでその行動は、反対するなら、他の案を出してみろ、と言っているようだ。
「まあ、待て、落ち着け。何も、否定している訳じゃないんだ。」
「何だと?」
「いいか?私達警察は、国家公安委員会に属しているだろ?そこは、さっき赤島さん。あんたが説明した通りだ。その長である国務大臣に、あんたから要望を伝えるだけでいいだろ?結局は、内閣府で決議するんだから。」
「いや、だからこそ、警察全員の意見を一致させてから、提案書を作成してだな…」
「それじゃあ、遅いのだろう。」
「まあ、確かに。この件は、早急に手を打たなければならないからな。」
「なら、決まりだな。あんたの所から、国家公安委員会に、その案を伝えるんだ。全国の警察への報告は、この事が決定してからでいいだろう。」
室伏は、そう言い終わると、席を立ち、同席した者達と一緒に部屋を出ていった。
「くそっ!」
一人残った赤島は、悔しそうな表情で、机を叩いた。
「何なんだ?この私の醜態は。相手をなだめて、こっちのペースで事を進めていたはずが、いつの間にか、室伏のペースになってしまって今じゃあないか?
それに、確かに室伏の言う通り、全国の警察の意見をまとめる必要なんて、どこにある?早急に対応しなければならないなら、この警察庁から、国家公安委員会、国務大臣に意見書を出すだけでいいじゃないか!こんな間抜けな姿、よりによって室伏に見せてしまうとは、なんて情けないんだ。」
赤島は、冷静さを保ち、今回の件を進めるように心掛けていたのだが、やはり、心の奥底にある、室伏への対抗意識は、残っていた。だからこそ、室伏に案の訂正をされたことにより、一時的にも、室伏に遅れを取ってしまった。その事が、赤島は、自分自身を許せなかったのである。
「こんな事をしている場合ではない。今すぐ、国家公安委員会に出す意見書を作成しないと。」
顔を何度か叩き、大きな深呼吸をする事で、落ち着きを取り戻した赤島は、自分の部屋へと戻っていった。
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