序章

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序章

 景気の悪化ぎ長引き、回復の兆しが見えない中、治安の悪化が急激に加速する日本。それは、日本中に広がっていった。人口密集地、過疎化地域に関係なく、ありとあらゆる所での、この現象は、現段階での警察組織では、全くといっていいほど対応できておらず、ある程度の軽度の犯罪程度では、もはや、警察は動かなく重なっているほど、凶悪犯罪件数も増えてしまっていた。 「引ったくりだ!」  警察交番の目の前で、引ったくりが起こっても、交番内には、警察官が一人もいない。事件が起こりすぎて、皆、何かしらの対応をしているからだ。その状況をいいことに、さらに犯罪は増えていく。各警察に届く被害届の数も溜まりに溜まっていき、最早、何から手を付けていいのかさえも、警察は分からないほどまでに、犯罪件数は増えすぎてしまっていた。  最早、警察官からしてみれば、目の前に映る全ての人間が犯罪者だと感じるほどだ。一人一人全員に職務質問をするわけにもいかない。それほどまでに激務となってしまった警察。当然、辞める者も増えてきたと同時に、警察になろうと思う者も減ってきている。  あまりにも人手が追い付かなくなった警察は、会議の末、 「自衛隊、消防へ救援要請をしなければならない。」  警察庁長官は、そう考えるようになった。 「警察学校を出ていない者に、警察の業務が勤まるのか?」  警察庁長官の提案に、最初は警察内で、そのような反論も出ていたのだが、急激に加速する治安の悪化が進むにつれ、そのような反論も減っていき、遂には、警察全体が、警察庁長官の提案に賛同するようになっていった。
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