二刀流令嬢・お風呂に入ってお茶会に出る・1

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二刀流令嬢・お風呂に入ってお茶会に出る・1

 長い廊下を歩く、ヴァレンティーナとアリス。 「すごいお屋敷ですねぇ」  屋敷の奥にあったラファエルの部屋。  ラファエルの部屋はソファがある広いリビングに、多分寝室と書斎が両側に一部屋ずつ。  そして木造の廊下を通った離れに、洗面所と風呂場があるという絢爛豪華さだ。 「離れの風呂とは珍しい」 「このお屋敷自慢の温泉風呂なんですよ。是非ご堪能くださいね」 「おんせん……薬の効果があるという?」 「はい、剣豪達が疲れを癒やした温泉です。使用人用の温泉もあるのですよ。そこは村人にも開放されています」 「それはすごい」  聞いた事はあるが、入った事はない。  そして剣豪とは? 「ヴァレン様のことは私がお世話いたしますので。ここで大丈夫です」 「わかりました。ではラファエル様のお部屋でお召し物をご用意してお待ちしています」 「ありがとう」  ふわりと柑橘系の良い香りがする。  風呂場のドアを開けると、しっかりと囲われた脱衣所があった。  「さっと入って、戻らねばな」 「温泉なんて初めてですねー! わーい!」 「そのようだな……香りがする湯とは、すごいな」  木でできた戸を開けると大理石の風呂に、石の獣の口からお湯が溢れている。  男性でも4、5人は入れる広さだ。  そしてオレンジが浮いている。  歴史を感じるが、やはり綺麗に管理されているのがわかる。 「わぁーすっごいいい香り~! ヴァレンティーナ様! 久しぶりに一緒に入りましょうか~~?」 「そうだな」  アリスの提案にヴァレンティーナも頷く。  入り方はドナから聞いたので、先に身体を洗い湯に浸かった。   「はぁ~あったかい~ヴァレンティーナ様、あまりご無理なさらないでくださいね」 「これは……最高だな。あぁ、大丈夫だ」  冷え切った身体にジワジワと染み入る温かなお湯。  二人共、つい声が出てしまう。 「私の山越えの計算があまりに無謀だったな。危険な目に合わせてしまい、すまなかった」 「んもう! 今回の雨は予想できなかった事ですし! 旅は一蓮托生です! そういうのダメですよ!」 「ありがとう、アリス」  ヴァレンティーナにとって、アリスは可愛らしく誰もが好きになる存在だと思っている。 「それにしてもラファエル様って、すごくいい男ですよね~~!!」  何故かドキリとしてしまう。  そう思った自分の心を、言い当てられたようで……。
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