裏切り

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ゲッ。 私は最悪だと思った。 藤堂蓮 私はこいつが苦手だ。 「藤堂。お前も運んでくれてるのか」 「はい」 「そうか。二人なら早く終わるな。頼んだぞ。俺は今から部活に顔出すから終わったら鍵を閉めてくれ」 先生は鍵を私に渡し、そのまま部活へと行った。 手伝ってはくれないんだな、と思いながら私達は先生の背中を見送った。 「……」 「……」 暫くお互いに見つめ合っていた。 気まずくて早くこの部屋から出ていきたかったのに金縛りにあったみたいに動けなくなった。 彼もそうだったのだろうが、先にそれから抜け出し口を開いた。 「なぁ、これってどこに置けばいいんだ?」 藤堂はダンボールを少し上げる。 「ああ。奥の扉の……開けるよ」 ダンボールを持ったままあげるのは無理だ。 ダンボールを置けば問題ないが、一々置いて持ち上げての動作は面倒くさい。 私もさっき先生に開けてもらったし。 そう思い、私は奥の扉を開けた。 「どうも」 その会話を最後に私達は黙々とダンボールを運んだ。 気まずい空気が流れたが、作業しているからと一応言い訳できるのが救いだった。 「終わった」 全てのダンボールを運び終わり達成感がでた。 「じゃあ、鍵返してくるから先に帰っていいよ」 気まずくて私はそう言ったのだが「俺も行く」と言われ何故か二人で職員室に向かった。
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