体育祭

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「あの、なんでわざわざ巴を誘ったんですか?」 楓が興味本位で尋ねる。 「ああ、それは毎年応援団だけで5分の見せ場があるだろ」 「ありますね」 去年はお笑いだったな、と楓は思い出し苦笑いする。 「今年はどの組みも演舞をするんだ。まぁ、まだ内緒だけど、明日になればどうせ知られるし……」 内緒といいながら、菖蒲は笑顔で秘密を暴露する。 「演舞!?」 桃花は目を輝かせる。 今から白組はどんな演舞をするか気になって仕方ない。 いや、それよりもまずは明日のじゃけんで絶対勝たなければと気合いを入れる。 「ああ、なるほど。だから巴を誘いにきたってわけですか」 運動神経抜群だからな、と芹那は頷く。 「うん。まぁね。多分、君のところにもくるんじゃないかな。お誘い」 そう言って菖蒲は桃花の方を見る。 その言葉に私たち3人は「でしょうね」と思う。 「え!?嘘!本当ですか!?」 桃花は教室から顔を出し、いつ白組の人が誘いにくるか期待した目で待つ。 「じゃあ、俺はそろそろ帰るよ」 菖蒲は立ち上がる。 「え、もう?」 楓は驚く。 もう少し説得するかと思っていたから。 「うん。無理強いはしたくないからな……」
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