体育祭

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「じゃあ、明日ね」 「うん。またね」 今から担任のところに行くため、桃花たちとは一緒に帰れない。 荷物を持って職員室に向かう。 ようはそんなにかからず、15分で終わった。 今日は中学生の稽古があるからさっさと帰らないと、じぃちゃんに怒られるから急いで靴を履にかえていると「ねぇ、少し時間ある?」と後ろから声がした。 私に言ったんじゃないよな、と思いながら後ろを振り返ると真ん中の女子とバチッと目が合った。 スリッパの色を確認すると赤で3年だとわかった。 嫌な予感がして、このまま帰りたかったが無視した方が後々面倒になりそうで仕方なくこう言った。 「あの……今のって私に言いましたか?」 一応、念のために聞く。 「ええ。時間ある?」 「これから中学生の稽古をつけないといけないので、あまり時間はないので少しでいいなら」 「問題ないわ。すぐに終わるから」 真ん中の女子がにっこりと笑うが、周りにいる女子たちは少し不機嫌そうな顔をしてみてくる。 '居心地最悪だな。そんな顔するくらいならこなければいいのに' 女子の大勢で一人に会いにくる行動に理解できずそう思う。 「そうですか。それで用件はなんでしょうか?」 さっさと終わらせたくて自分から尋ねる。 「応援団に入ってほしくて」 'やっぱりか!' 私は泣きたくなる。 予想してたとは言え、一度断ったのに、また誘われるのはあまりいい気分ではない。 大勢で圧をかけるように言ってくるなら尚更だ。 「その件は昨日お断りしましたが」 「知ってるわ」 'なら、誘うな!' 「でも、どうしてもあなたに入って欲しいの」 名前も知らない先輩はとても切実な目をしていた。 「どうしてですか?」 なぜ、私にこだわるのか全く理解できない。
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