体育祭

11/29
前へ
/124ページ
次へ
「じゃあ、俺がやらせてもらうよ。とりあえず、ダンス、よさこい、応援団は一番最後に決めさせてもらうよ」 前園がそう言ったのには理由がある。 この3つは毎年人気だが、この3つ以外をやりたいと思う人もいる。 それなのに、先に決めたら負けた人たちはやりたくなかった人たちと他の係の座を取ることになる。 元々、第一希望だったものが第二希望のものにそれを奪われるのは可哀想だと去年感じていたので、自分が進行役を務めるいま、そういう決め方をしようと思った。 「いいよ」 私はそう言う。 中には不満げな顔をしているものもいたが、私が一番最初に賛同したため、反対するのを躊躇っていた。 それに、人気の3つ以外の係を希望していた者たちは喜んでいたため余計に言いづらい。 それでも、一部のものはそのやり方に納得いかない様子で、前園は進行したくてもなかなかできそうにかった、そのとき…… 「俺も賛成」 「俺も」 顔の知らない男子2人がそう言った。 その2人のお陰で、他の人たちも「賛成」と手を上げるものが半数を超えたため、前園のやり方で決めることになった。 人気の3つ以外の係はじゃんけんすることもなく、スムーズに決まっていきあっという間に終わった。
/124ページ

最初のコメントを投稿しよう!

112人が本棚に入れています
本棚に追加