体育祭

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「じゃあ、次はダンスを決めよう。やりたい人?」 女子たちが手を挙げる。 「向こうでじゃんけんしてください。決まったら教えてください」 前園は左側の空いているところを指差す。 手を上げた女子たちは言われた通り左側でじゃんけんを始める。 「次によさこいやりたい人?」 男子たちが手を挙げる。 「そっちでじゃんけんして決まったら教えてくれ」 右側の空いでいるところを指差す。 男子たちは言われた通り右側に移動してじゃんけんする。 「じゃあ、最後に応援団。やりたい人」 私は手を挙げる。 前園が言うまでの間、みんなの視線が集まっていて居心地が悪かったが、約束した以上手を挙げるしかない。 「……えっと、桜庭さんは先輩から誘われて……」 いたから決まりでいいのかな?と前園は言おうとしたが「断ったんじゃなかったの?」と言葉を遮られ最後まで言えなかった。 「断ったよ」 「なら……!」 「でも、昨日また頼まれた」 そう言うと突っかかってきた女子は言葉を詰まらせ何も言えなくなり、ただ睨みつけてくる。 「じゃあ、応援団の女子一名は桜庭さんで決まりでいいですか?」 前園が女子に尋ねるが、誰も何も言わない。 ずるい、卑怯だ、そう言いたいのに3年の先輩たちが怖くて何も言えない。
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