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「それはダメだよ」
「え……?」
私の発言に全員がきょとんとする。
「先輩たちには誘われたけど、それとこれは話が別でしょう。それに先輩たちにもわかってるよ。じゃんけんに勝たないと誘っても意味ないって。昨日、それでいいかって聞いたし、私もじゃんけんするから。公平にいこう。ね?」
文句ないよね、と睨んできた女子たちに顔で語りかける。
女子たちはフイッと顔を横にずらす。
「……わかった。では、じゃんけんで決めよう」
前園はそう言いながら、本当にそれで大丈夫かと心配になる。
わざわざ誘いにきたのに、その子が応援団になれてなかったら……と、そのときの光景を思い浮かべ顔が青くなる。
でも、先輩に言ったと言ってたし、本人もそれでいいと言うならいいのだろうと無理矢理自分を納得させ、前園は目の前でじゃんけんをさせる。
最初に男子。
次に女子。
「最初はグー、じゃんけんポン」
女子の掛け声をその場にいた全員が見守る。
グーが4人、パーが1人、チョキが5人。
あいこだ。
もう一度じゃんけんをする。
4回まであいこで誰も決まらなかったが、5回目で一気に3人決まった。
残るは一枠。
私は負けた。
別にやりたいわけではないが、先輩に昨日言われた言葉とじいちゃんに言われた言葉を思い出し複雑な気持ちになる。
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