体育祭

14/29
前へ
/124ページ
次へ
「ねぇ、じいちゃん」 「なんじゃ」 「来月、体育祭あるじゃん」 「あるな」 「私、応援団やって欲しいって頼まれた」 「そうか。頑張れよ」 「うん……ん?やっていいの?」 駄目と言われると思ってたので驚きを隠せない。 「もちろんじゃ。やりたいならやればいい。なぜ、ワシの許可がいる?」 「え……だって、放課後練習があって稽古の手伝いできないよ。わたし」 「そんなことわかっとるわい。別にワシ1人でも問題はない。もちろん。体育祭が終わったらその分働いてもらうがな」 「……」 やっぱりやめようかな、と応援団をやりたくなくなる。 「頑張れよ」 じいちゃんは嬉しそうに笑う。 「まだ、決まってないけどね。明日のじゃんけんに勝たないとできないし」 「なに!?そうなのか!?」 「うん。そう」 じいちゃんに期待されたら応えたいと思う。 でも、これ以上面倒なことは嫌だし。 未だに応援団をやりたいのか、やりたくないのか、はっきりしないまま、こればっかりは天しだいだな、と他人事のように感じながら、残り一枠をかけてじゃんけんする。 「最初はグー。じゃんけんポン」
/124ページ

最初のコメントを投稿しよう!

112人が本棚に入れています
本棚に追加