裏切り

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「失礼しました」 「おお。ご苦労様」 鍵を返しに行くと丁度教頭先生がいた。 頭を軽く下げてから職員室をでる。 職員室を出ても私達の間に会話はなかった。 ただ、教室に戻るには同じ道を通っていくしかないため一緒に向かう。 私は7組。彼は2組。 それに私のいる7組は女子だけのクラスのせいか、一番奥の教室で例年とは少し違ったところにあるが2組を通らないと7組にまでは辿り着かない。 嫌だが我慢するしかない。 どうせあと少しの辛抱だからとそう言い聞かせて教室に向かうが、少し前を歩いていた藤堂が急に立ち止まり驚いた表情をして固まった。 一体何を見たんだ? そう思って彼の視線を辿ると自分の喉からヒュッと音がしたのが聞こえた。 藤堂は慌てて私の腕を引っ張り、その場から連れ去ってくれるが遅い。 見てしまった。 1組の教室で彼氏の秋夜と幼馴染の茜が抱き合っていたのを。 そしてそのまま流れるようにお互いが顔を寄せ合いキスしたのを!
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