体育祭

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「2人ともなに辛気臭い顔してんの?じゃんけん負けたの?」 「桃花」 横から声をかけられ、そっちを向くと桃花と楓がいた。 「いや、勝ったよ。一応、第一希望だよ。そういう2人は?」 勝ったのに、なぜそんな顔を?と2人は不審に思うも、早く結果を教えたくて後で聞くことにした。 「もちろん……」 桃花はこれでもかとためてから続きを楓と共に言う。 「「勝ったよ!」」 桃花と楓も応援団志望だ。 「おめでとう」 「てか、すごくない全員じゃんけんに勝つって」 普段、めちゃくちゃ弱いのに、と楓はケラケラと笑う。 「本当だよね。芹奈はダンスで巴は借り物競走?」 「うん。私はね。巴は……」 「違うの?じゃあ、なに?」 楓は首を傾げる。 「……応援団」 「「……!?」」 桃花と楓はさっきの芹那と同じ反応をする。 「巴。応援団嫌って言ってなかったけ」 「昨日、3年の女子の先輩たちに頼まれて……」 桃花の質問に答える。 ''ああ、それで情に訴えられて流されたのか" 桃花と楓はすぐにわかる。 脅しには絶対屈さないのに、情に訴えられるとすぐ流されるのはいつものことなので驚くことは何もない。 「それに……」 それに?まだなにか理由があるのかと3人は耳を傾ける。 「じいちゃんに話したら楽しみにしてるって言われて」 ああ、それは期待に応えるしかないな、と3人は思う。 「昨日の稽古で中学生たちも観にくるって言うから」 それは、やるしかないね、と3人はまたしても同じことを思う。 「それなら頑張るしかないね」 桃花が私の肩に手を置く。 「うん。頑張るよ」 「あ、そろそろ時間じゃね?」 ふと視界に時計が入った芹那が言う。 「本当だ。じゃあ、あとでね」 それぞれ自分の組みの色の列に戻る。
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