体育祭

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「とりあえず、やってもらおう。他に何ができるかも聞かないとね」 如月は菖蒲にコソッと話しかける。 「だな」 構成も振り付けももう考えているが、誰をどこにするかは個人の能力次第で変える。 3年は前だが、1、2年は違う。 「とりあえず、4人はこっちで1人ずつやってみてくれ」 「はい」 菖蒲に言われ、1人ずつバク転をする。 「全員、上手いな。バク宙できるものはいるか?」 菖蒲に聞かれ、できるので手を挙げるが挙げたのは私だけだった。 'えっ!?まじか……' 嫌な予感がして、ゆっくりと菖蒲の方を向くと目を輝かせて私をみていた。 なんとなくこの後、菖蒲が何を言うか予想できた。 「やってみてくれ!」 'やっぱり……!' 「はい」 やると決めた以上、全力でやらなければ負けた人たちに申し訳ないと思う。 気合いを入れ直してからバク宙をする。 成功すると拍手が起きた。 少し恥ずかしかったが、褒められるのは嬉しい。 これで良かったのかと、確認のため菖蒲の方を向くと3年全員で話し合いをしていたので不思議に思いながら、みんなのいる場所へと戻る。 「桜庭さん。本当に運動神経いいね。超かっこよかったよ!」 「ありがとう。岩崎くん」 「堅苦しいよ。これから一カ月、一緒に頑張るんだ。蒼って呼んでくれ」 「わかった。なら、私も巴って呼んで」 蒼は人見知りする私とは真逆で誰に対してもフレンドリーだ。 応援団が決まった日からよく話しかけてくれるので、すぐに仲良くなれた。 「オッケー。巴。これから頑張ろな」 「うん。頑張ろうね。蒼」 私たちはニッと笑い合う。
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