体育祭

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「3時間目はもうそろそろ終わるな。4時間目はここに他の組の応援団もくるから、まとまって座るぞ。とりあえず一旦休憩で」 菖蒲がそう言うと各々休憩しだす。 「あの……」 菖蒲の周りに誰もいなくなるのを見計らってから話しかける。 「ん?桜庭。どうかしたか?」 「さっきのことなんですけど」 時を遡ること数分前。 私がバク宙ができるとわかり、先輩たちが演舞の構成を説明し始める。 最初は良かった。 いい演舞だなと思っていた。 だが、途中からアクロバットが入り出した頃、なぜか私の場所が菖蒲の隣になっていた。 バランスを考えればそこになるのは納得だが、どうしても2年の自分が3年の先輩を押し退けて前で踊るのは違うと思った。 「やっぱり気が引けるか?」 「はい。バランスを考えて私をそこにしたのはわかります。でも……」 「気にしなくていいのよ」 急に後ろから話しかけられ驚いて肩がビクッとなる。 誰だ?と思い振り返ると、そこには如月がいた。 「私たちはみんな納得してる。それでも、どうしても気になるっていうなら、最高の演舞をしてちょうだい。あなたを選んで良かったと思わせて」 如月はポンと優しく私の肩に手を置く。 「はい。精一杯頑張ります」 「うん。頑張ろうね」
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